ライザップをポジショニング/パーセプション分析してみた

さて、マーケティングにはポジショニングという考え方があります。これは、顧客の頭の中に、独自性があり、かつ有利な位置取り=ポジションを築くという行為です。

ライザップブランドのウェアのユニークなポジショニングとはどのようなものなのでしょうか?現時点ではまだ伊藤忠やライザップの明確な戦略は分かりませんが、健康志向の強さ、意志の強さなどが可能性として考えられます。また、価格を武器とする案も当然あります。機能性で圧倒的な優位に立つという方向性もありますが、現時点ではそれが技術的に可能かは不明なため、割愛しました。

この通りに顧客に認識してもらえれば、今回のウェア展開も一定の成功は見込めなくはないですが、はたしてこのように認知してもらえる顧客はそもそも多いのでしょうか?あくまで私見ではありますが、体型に難のある人がわざわざこのようなウェアを着る意志を持つ気がしませんし、しっかりダイエットした人が、改めてこのウェアを着用する意志を持つ感じも受けません。

むしろ、一般的な消費者からは、下記のようなパーセプションを持たれる可能性が強いのではないでしょうか。縦軸のカッコよさについては、どのような契約アスリートを選ぶかにも左右されますが、よほど大胆な手を打たない限り、上の方に持っていくのは容易ではないでしょう。

これはあくまでビジネスを始める前の想像にすぎませんが、現実的に、狙ったポジショニングと、現実のパーセプションがずれることはよくあることです。それを比較し、然るべき手を打つために行うのがポジショニング/パーセプション分析です。今回のケースでは、それを前広に予測しながら然るべき施策を打つ必要性が高そうです。

伊藤忠の目論見によれば、当初の売上げ目標は20億円とのことです。そもそもの潜在市場規模を見極めた上で、本当に彼らに刺さるポジショニングを維持できるのかが注目されます。

今回ご紹介した2つの分析は、マーケティングの基本となる分析です。キャッシュ創出が企業の重要な目的である以上、是非マスターすべき分析手法と言えます。

これらの分析ツールにつきましては、6月30日に上梓した『グロービスMBAキーワード 図解 基本ビジネス分析ツール50』において、分析例も交えて解説しています。この他にも48個、計50個のビジネスに役立つ分析ツールを紹介していますので、是非ご参考ください。