テニスの四大大会の一つ、ウィンブルドン選手権の男子シングルス決勝が7月10日に英ロンドンで行われ、英スコットランド出身のアンディ・マレーが2度目の優勝を果たした。

テニスの次は金融で深刻化 <br />新たな「ウィンブルドン現象」テニスのウィンブルドン選手権男子シングルスで2度目の優勝を果たしたアンディ・マレー Photo:AP/アフロ

 会場であるセンターコートの貴賓席は例年以上に華やかだった。ウィリアム王子夫妻をはじめとする英国王室一族、デイビッド・キャメロン英首相(当時)、サディク・カーン・ロンドン市長に加えて、俳優のヒュー・グラントや往年の名テニスプレーヤーであるビヨン・ボルグなどの姿も見えた。

 マレーは優勝直後のインタビューで貴賓席に敬意を表して次のように述べた。「キャメロン首相など伝説的な人々の前でプレーできてうれしい。ウィンブルドンの決勝はタフな戦いだが、僕は首相になりたいとは思わない。その仕事はあり得ないほど厳しい」。

 おだてられたキャメロン氏はニコニコしていたが、彼が貴賓席にいると知った観客は一斉に強烈なブーイングを発した。欧州連合(EU)離脱派はもともと彼が嫌いで、EU残留派は「おまえが国民投票を実施したからこんなことになった」と怒っているからだ。

 7月13日、英国の新首相にテリーザ・メイ前内相が就任した。EU離脱を先導してきた過激な政治家たちと比べれば、彼女は今後のEU側との交渉において、穏当な落としどころを模索できるのではないかと、市場は期待している。