車格はレクサスHV「LBX」とほぼ拮抗も
技術面は中国・吉利×ボルボの混血PF

 レビューの前に、EX30の成り立ちを簡単に解説する。車体サイズが全長4235×全幅1835×全高1550mmのBEV。地面と床面の距離が175mmと通常型の乗用車に比べて余裕を持たせた、俗に「クロスオーバー」と呼ばれるセミSUV形態のクルマである。車格、サイズ感、価格帯など、トヨタ自動車のラグジュアリーブランド、レクサスのハイブリッド専用小型クロスオーバー「LBX」とほぼ拮抗する。

 技術面で注目すべき点の一つは、親会社である中国企業、吉利自動車の電動プラットフォーム「SEA2」(SEAはサスティナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャの略)を使って構築されたこと。正確には研究開発会社、ジーカーテクノロジーヨーロッパによるものだ。中国ローカルからグローバル企業への飛躍という野心を実現させるために吉利が13年、ボルボの根拠地スウェーデンのヨーテボリに設立したもので、倒産したスウェーデンの自動車メーカー、サーブのエンジニアを含め幅広く人材を集めた巨大テクノロジーファームである。

 ボルボは吉利傘下に入る前、フォードグループの時代に「他社の開発したプラットフォームを使ってボルボらしさを出す」といったクルマ作りには慣れている。が、中国・欧州混血プラットフォームを使うのはこれが初めて。それだけに仕上がりはライバル企業からも注目を集めた。

ボルボEX30 UltraのリアビューボルボEX30 Ultraのリアビュー。トリッキーな部分の少ないクリーンなデザイン Photo by K.I.