「ネガティブになりやすい人」が無意識にやりがちなNG習慣とは?【精神科医が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

ネガティブになりやすい人、なりにくい人の違いはどこにあるのか、これまでのべ10万人以上の患者を診てきた精神科医の伊藤拓氏が徹底解説。「幸せホルモン」のセロトニンを脳内に運べる量とうつ病の深い関係や、睡眠不足が招く精神面への悪影響など、ネガティブ感情が生まれる原因と仕組みについて説く。精神科医が教える、ネガティブ沼に陥らないためのヒントを紹介。※本稿は、伊藤拓氏『精神科医だけが知っているネガティブ感情の整理術』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の一部を抜粋・編集したものです。

感情に深い関わりのある脳内物質
セロトニンとノルアドレナリン

 ネガティブ感情に特にかかわりのある脳内物質が、セロトニンとノルアドレナリンです。

 うつ病などの治療では、脳内のセロトニンやノルアドレナリンの濃度を高めるための薬剤を使用するのですが、それほどこの2つの脳内物質は感情と深いかかわりがあるのです。特に、「幸せホルモン」の1つとして紹介されることも多いセロトニンは、外からの刺激(ストレス)に抵抗する力ともかかわりがあるので、ネガティブ感情の生まれやすさにもつながると考えられます。

 脳内に分泌されたセロトニンは、「セロトニン・トランスポーター」というタンパク質によって運ばれます。セロトニン・トランスポーターには、運べるセロトニンの量によって3つの遺伝子型があると言われています。それぞれの遺伝子型が持っているバケツの大きさが違うと考えると、わかりやすいかもしれません。

 大きなバケツタイプは、一度にたくさんのセロトニンを運ぶことができます。ストレス耐性が高く、ストレスを感じる環境でも精神的に安定した状態を保つことができます。

 小さなバケツタイプは、運べるセロトニンの量が少ないため、ストレス耐性が低く、物事をネガティブにとらえがちになります。

 その中間、普通のバケツタイプは、ごく平均的な量のセロトニンを運ぶことができると考えられます。

 ちなみに、アメリカ人やアフリカ人には「大きなバケツタイプ」の人が多く、日本人やアジアの人には「小さなバケツタイプ」の人が多いと言われています。ちょっとしたことで、イライラしたり、落ち込んだりするという方は、このバケツの大きさが影響しているのかもしれません。

図表:セロトニン・トランスポーターの型は3種のバケツサイズで考えるとわかりやすい同書より転載 拡大画像表示