新国立とカンプ・ノウに見る「設計事務所vsゼネコン」の相互領空侵犯スペイン・バルセロナの「カンプ・ノウ」スタジアムの完成イメージ図 提供:日建設計

日本の設計大手である日建設計は、スペインの有名サッカークラブ、FCバルセロナ(FCバルサ)の拠点スタジアムである「カンプ・ノウ」を改修する設計コンペで世界の競合を制し、受注を勝ち取った。しかも、ゼネコンが担うプロジェクトのマネジメントの一部も担当し、工事を行う施工会社を主導する役割を任された。こうした従来の設計にとどまらない受注はスタイルとして定着していくのか。(ダイヤモンド編集部 松野友美)

>>(上)「FCバルセロナ本拠地改修を日建設計が受注、大金星の裏に『ザハ案』の雪辱」を読む

バルサのサッカー場改修で
施工の提案もした日建設計

 日建設計がスペインの有名サッカークラブ、FCバルセロナ(FCバルサ)の拠点スタジアムである「カンプ・ノウ」の改修で、設計を受注する決め手の一つになったのがBIMだった。BIMとは、建物全体の設計図から部品一つまでサイズや数量、仕様など、建設に必要なあらゆる情報をまとめてデータベース化するツール。日建設計はデザインの提案とともにそれを実現するための工期短縮や合理的な工事方法の提案を、BIMを使ってFCバルサに説明してみせたのだ。

 スペインでは4~5年前からBIMの活用が始まっている。しかし、バルセロナがあるカタルーニャ州ではまだほとんど使われていない。カンプ・ノウでの活用は初めてに近いものだった。