転職・就職 新14メガトレンド#10Photo:Chesnot/gettyimages

コロナ禍で1900人を解雇した民泊ビジネスの先駆け米エアビーアンドビー。大量リストラで評価を落としたかと思いきや、解雇した元従業員へのアフターケアに称賛が集まっているという。特集『転職・就職 新14メガトレンド』(全14回)の#10では、エアビーのこの対応が、転職などによる退職も含めたOB・OGに対する施策の「世界的な新トレンド」となりつつある現状を紹介する。日本企業も乗り遅れてはいけない。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

エアビーの退職者ケアに称賛の声
クラレや中外製薬も似た制度を運用

 解雇と聞いて、ポジティブに捉える人はどれだけいるだろうか。

 投資家なら劇的な業績回復が期待できるため、歓迎するかもしれない。しかしその会社の従業員であれば、ほぼ全ての人が、会社の都合でいや応なく首を切られるネガティブなこととして捉えるだろう。

 しかし、新型コロナウイルスの猛威を受けて今年5月に民泊ビジネスの先駆けである米エアビーアンドビーが行った解雇は全く違った。1900人もの従業員を解雇したにもかかわらず、首を切られた元従業員も会社に残った従業員もネガティブに捉えることはなかった。それどころか、社外からは解雇対象者に対するアフターケアに称賛が集まっているというのだ。

 1900人の人員削減を実行しても称賛されるという退職者へのアフターケアとはどのようなものなのか。調べてみると、エアビーの手法は、日本企業まで巻き込んだ今後のメガトレンドとなる可能性を秘めていることが分かった。

 実際、日本企業でもクラレや中外製薬が、退職者に対してエアビーと似た考え方で、制度を整備している。日本企業も、対岸の火事ならぬ、「海の向こうのスタートアップが採用した特殊な方法」と軽視している場合ではなさそうだ。

 では、その手法を詳しく解説しよう。