コロナ前まで「超売り手市場」だった新卒採用選考。「最近の学生は就活をナメている」と嘆きながら、採用難に苦しむ企業の人事担当者は多かった。そんな彼らはコロナ後の「買い手市場」でも負け組人事となる可能性が高い。それはなぜか。特集『転職・就職 新14メガトレンド』(全14回)の#9では、アフターコロナの新卒採用の勝ち方に迫る。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
アフターコロナの新卒採用で
勝ち組企業になるためには
「一度もリクルートスーツを着ませんでした」――。
IT企業から内々定を獲得し、5月に就職活動を終えた男子大学生はこう振り返った。選考はほとんど全てオンラインで行われたという。
就職情報サイト「キャリタス就活」を運営するディスコの調査によると、3月下旬時点で864社(回答社数)のうち7割以上の企業が、少なくとも採用活動の一部を見合わせていたという。こうした状況下において、オンライン説明会やオンライン面接の活用が急速に拡大。新卒採用の状況や手法は、新型コロナウイルスの感染拡大で一変した。
近年の新卒採用選考は「超売り手市場」といわれてきた。優秀な人材を獲得できず、苦い思いをしてきた企業の人事担当者は少なくない。
そんな新卒採用市場をコロナが直撃。突如として「買い手市場」と化した。これを受けて、もしかしたら自社の採用に追い風が吹くのではないかと、淡い期待を抱いた人がいるかもしれない。しかし、残念ながら期待通りに事は進まなそうだ。それどころか、「新卒採用勝ち組企業」との格差がさらに拡大してしまう可能性もあるという。なぜなのか。
「ほとんどの企業が学生の本音を知らない」――。
月間100万人が利用する就活口コミサイト「ONE CAREER」を運営するワンキャリア経営企画室PR Directorの寺口浩大氏はこう指摘する。
いったいどういうことか。寺口氏は、勝ち組企業が注目している採用マーケティングにおける三つのポイントを教えてくれた。