キャッシュフロー・マネジメント術#4Photo:erhui1979/gettyimages

利益が出ているのに会社が倒産してしまう恐ろしい「黒字倒産」。実は黒字倒産は極めてまれというわけではなく、上場企業でも起きている。ダイヤモンド・オンラインでの連載や会計の著書を多数執筆する矢部謙介・中京大学教授がキャッシュ管理の重要性を易しく解説。特集『課長は理解必須!キャッシュフロー・マネジメント術』(全6回)の#4では「黒字倒産」のメカニズムを説明する。

上場商社でも起こった黒字倒産!
実例で学ぶキャッシュの重要性

 今回は、キャッシュを軽視した結果起こる恐ろしい「黒字倒産」について説明します。

「勘定合って銭足らず」という言葉は、利益が黒字であってもキャッシュが足りなくなる状態を指します。本特集#3『キャッシュと利益の差を知らないと管理職失格!絶対知るべき「2つの会計項目」』まででお伝えしたように、損益計算書(P/L)上の利益とキャッシュ・フローは一致しません。P/L上は黒字でも現金が増えていない、少ないということは十分にあり得るのです。

 実際、利益が出ていても資金不足(「資金ショート」とも呼びます)の状態に陥り、倒産してしまうケースがあります。これが黒字倒産です。ここでは上場していた商社と不動産会社で実際に起きた黒字倒産の事例を紹介します。

 この事例をきちんと理解すれば、キャッシュ不足の怖さ、キャッシュ管理の重要性が実感できるはずです。そしてそれは管理職にとって必須の知識です。あなたの会社やあなたの部署の事業は大丈夫でしょうか?