業績 再編 給与 5年後の業界地図#16Photo by Kuninobu Akutsu

10年で営業利益を20倍にするなどすさまじい成長を続ける半導体検査装置のレーザーテック。今後も成長余地は大きく、市場予想の5年後の利益は昨年実績の6倍以上を見込んでいる。半導体の微細化が進むほど同社には追い風といわれているが、死角はないのか。特集『業績 再編 給与 5年後の業界地図』(全16回)の最終回では岡林理代表取締役社長に、1台50億~80億円の売り上げが上がると市場でうわさされている、世界初のEUV光源を使ったマスク検査装置「ACTIS A150」のインパクトや、他社の追随可能性など、突っ込んで聞いた。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

EUV光源を使った検査装置で飛躍
時価総額は10年で100倍以上に増加

――社長就任時は業績が今のような状況ではありませんでした。

 1年目はリーマンショックで赤字でした。この本社ビルの土地とビルの借金も80億円程度あり、半導体製造装置の市場がまた元に戻るのかもよく分からない状況でした。

 とりあえず1年目は……、2年連続で赤字はまずいので、とにかく黒字にしようと。われわれの年度末は6月ですけど、やっと6月に黒転しました。非常に厳しい年だったですね。

――黒字転換後、業績が急拡大しています。特に直近5年間で売上高は4倍、営業利益は5倍に伸びています。

 この10年強、当社の強さが発揮でき、世の中に貢献できる分野に選択と集中をする方針でやってきました。数年前からは特にEUV(極端紫外線)です。

 半導体デバイス(半導体を使用した電子部品)は、マスクブランクスに半導体の設計図を描いたマスクを使い、製造されています。レーザーテックの検査装置は、そのマスクブランクスやマスクを光で検査します。

 EUV光源を使った検査装置、並びに従来からのDUV(深紫外線)光源を使った検査装置というのを販売していたのですが、そこが顕著に伸びてきています。

 われわれは光を使った検査計測装置が主力分野。ですが、薄利多売で他社と差別化できないような装置をやってコストダウンで勝つのは苦手な会社でした。

 一方、EUV関連も含め、難易度が高くてチャレンジする項目が多いところは得意分野。EUV光源を使う検査装置は過去にやったことはなかったですが、お客さまから声が掛かってチャレンジしました。

――世界初のEUV光源を使ったマスク検査装置「ACTIS A150」ですが、1台で数十億円とのうわさです。一度に何台も注文があるのでしょうか。