階級社会#9

2019年4月から施行された働き方改革関連法とは、八つの労働法の改正を伴う総称だ。ただでさえ、改正労働法の解釈が難しくなっていたところに、コロナショックが直撃。人々の働き方が激変し、労働問題はより複雑化する傾向にある。そこで労働法に詳しい向井蘭弁護士に、現場で起きがちな労働トラブルの解消法について3回にわたり徹底解説してもらった。企業の経営者・人事部にとって、必見の最強マニュアルとなること間違いなしだ。特集『新・階級社会 上級国民と中流貧民』の#9はその第2回、リモートワーク遂行下における「働かない社員」への対処法などについて。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

リモートワークの浸透で
「働かないおじさん」があぶり出される

「新型コロナウイルスの感染拡大によるリモートワークの広がりによって、社員の成果が“可視化”しやすくなった。対面だった頃と比べてプロセスが分かりづらくなる分、結果がより重視されるので、労働者にとってはむしろ厳しい時代になっている」。向井蘭弁護士は、リモートワーク時代の働き方について、そう指摘する。

 コロナ禍を背景に、リモートワークの導入が大手企業で一斉に進んだ。ダイヤモンド編集部が実施したアンケートによれば、約5割の回答者がコロナ禍になって自社でリモートワークを取り入れていると回答している。

 だが、導入企業の増加に伴って、リモートワークならではの弊害もクローズアップされるようになってきた。

 その一つが、社員のリモートワーク時の働き方問題だ。特に、リモートワークでは、社員の働き方を会社や上司がいちいちチェックすることは難しい。自宅での勤務中、上司がいないのをいいことにYou Tubeを閲覧したり、ビール片手に作業をしたりするなど、思い当たる節がある読者も多いのではないか。

 それ故、冒頭のように、仕事の過程ではなく結果のみで判断されるようになるわけだが、それでも社員の管理は会社にとって重要な問題だ。

 リモートワーク下における社員への対応はどうすればいいのだろうか。労働法に詳しい向井弁護士に聞く労働問題Q&Aの第2回では、企業の労務管理にまつわる疑問を尋ねた。

質問1:リモートワークを実施した結果、社員間で明らかに成果にばらつきがある。成果の出ていない「パフォーマンスの低い問題社員」を企業が辞めさせることはできるのか。

質問2:リモートワークの導入によって、業務時間中に隠れて飲酒、動画閲覧、コンビニへ買い物に行くなどの問題行為が見られるようになった。こうした行為への対応は。

質問3:貸与パソコンのログイン状況で時間管理をしているが、稼働させたままサボっている。どう対応すべきか。

質問4:従来のように出社時間による労働時間の把握が難しくなった。過剰な残業代などのリスクに対して、どのように対応すればいいか。

 これらの疑問に対する回答は。特に、向井弁護士が提唱する「パフォーマンスの低い社員」への対処法は必見だ。