階級社会#7

2019年4月から施行された働き方改革関連法とは、八つの労働法の改正を伴う総称だ。ただでさえ、改正労働法の解釈が難しくなっていたところに、コロナショックが直撃。人々の働き方が激変し、労働問題はより複雑化する傾向にある。そこで労働法に詳しい向井蘭弁護士に、現場で起きがちな労働トラブルの解消法について3回にわたり徹底解説してもらった。企業の経営者・人事部にとって、必見の最強マニュアルとなること間違いなしだ。特集『新・階級社会 上級国民と中流貧民』の#7はその第1回、「職場での『コロナ差別』の境界線はどこにあるのか問題」などについて。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

ワタミ、ノジマで話題に
「ワクチン接種済みマーク」に問題は

 新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らない。東京都の新規感染者数は5000人を超える日が続く一方、ワクチンはいまだ多くの接種希望者に行き届いていない。

 そうした中、数多くの企業が対応に苦慮している。社内での感染対策のみならず、居酒屋や飲食店、小売店などの接客業では、客向けへの感染対策も必要だ。

 例えば、外食大手のワタミが、社員にワクチンを原則接種するよう求めることが話題になった。接種を終えた社員はマークを着けるといい、客向けへのアピール材料にしたい考えだ。ワクチン接種を望まない場合はPCR検査を毎週実施する。同様に、家電量販大手のノジマでも、任意でワクチン接種済みのマークを社員の名札に付けるという動きを始めている。

 現在日本では、あくまでワクチン接種は「努力義務」であり、接種の判断は本人の意思に委ねている。ワクチン接種を促すようなこうした企業の動きに、問題はないのか。

 そこで、労働法に詳しい向井蘭弁護士に聞く労働問題Q&Aの第1回では、企業のコロナ対応にまつわる疑問について回答してもらった。

質問1:接客業でワッペンを貼らせる、特定の業務に就かせないなど、ワクチン接種者と非接種者を区別することは、問題にならないか。

質問2:会社で新型コロナ感染者のクラスターが発生した場合、労災認定されるのか。

質問3:パート・アルバイト以外の、正社員のみを対象にした職域接種に問題はあるのか。

質問4:コロナ禍の休業で、正社員にのみ休業手当を支払っているが、どんな問題があるのか。

 これらの質問への回答は。