働き方改革関連法施行の効果もあって、長時間労働が抑制されるなど、表面的には労働問題は質量共に改善傾向にあるかのように見える。しかし、それは実態とは違う。ダイヤモンド編集部が実施した労働者アンケートとその対象者への追加取材によって、非正規差別や企業内のリモートワーク格差、働かないベテラン勢への過剰な忖度といった問題が深刻化・複雑化している実態が明らかになった。特集『新・階級社会 上級国民と中流貧民』の#8では、その調査結果の全容をお伝えする。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
「正社員は、非正規社員があいさつしても一切無視。それなのに、あいさつを忘れると注意する。陰湿ですよね…」
大手カーリース企業で働く女性は、社内に広がる非正規差別の実態を赤裸々に語る。この会社は“プロパー重視”でよそ者に厳しく、短期契約の非正規雇用者を冷遇する正社員が多数存在するという。そのせいで、「短期契約とはいえ、3カ月~半年しか続かず辞めていく非正規社員が多い」と女性は嘆く。
非正規社員に辛く当たる傾向があるのは、何もこのカーリース会社だけではない。2019年4月から施行された働き方改革関連法において、「同一労働同一賃金」の大号令の下で改善が進んだはずの待遇格差が、今も日本企業全体に色濃く残っている。
この女性を含む社会人399人を対象に本誌が実施したアンケートの結果からは、そんな残念な実態が浮き彫りになった。ここからは、その内容を紹介しよう。