階級社会#6Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

食事宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員は全国に約10万人いるといわれる。コロナ禍で飲食店のテークアウトビジネスが急成長する裏では、配達員による事故頻発などの労働問題が急浮上している。ダイヤモンド編集部では、現役の配達員に取材を敢行。予想を超えるような過酷な労働実態が明らかになった。にもかかわらず、なぜウーバーイーツの仕事を続けているのか。宅配員からは意外な本音も飛び出した。特集『新・階級社会 上級国民と中流貧民』の#6では、その内容を余すところなくお伝えする。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

コロナ禍でウーバーイーツ需要が拡大も
配達報酬は「1件300円」の悲惨

 2016年9月に日本市場に参入したフードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」は瞬く間に日本各地に広がり、配達員は全国で約10万人にまで膨れ上がった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食が難しくなっている影響もあり、今ではロゴ入りの黒いバッグを背負った配達員を街で見掛けない日はない。

 配達員の魅力は、スマートフォンが一台あれば面接や履歴書が不要で登録でき、好きなときに好きなだけ働けることだ。人数の比率は非開示だが、本業の合間を縫って配達をこなす「副業組」だけでなく、企業に属さずウーバーイーツなどのフードデリバリーのみで生計を立てる「本業組」も存在し、平日と週末を問わず街中を駆け巡っている。

 ところが、登録者数が増加の一途をたどる裏で、配達員は時に予想を超えるような過酷な労働を強いられている。

 何しろ、1件の配達で得られる報酬は最低300円で、どれほど高性能なバイクや自転車を使っても「1時間に最大4~5件をこなすのがやっと」(現役配達員)なのだ。専業の配達員は、毎日早朝から深夜まで身を粉にして働いて初めて、標準的なサラリーマンの稼ぎに等しい「月収20万円」を手にできるのである。

 今回、ダイヤモンド編集部では現役のウーバー配達員に取材を敢行。予想を超えるような過酷な労働実態が明らかになった。その実例を見ていこう。