『階級社会』著者が激白!自民党が格差世襲を解消できない本当の理由Photo by Kazutoshi Sumitomo

新型コロナウイルス感染症は、人々に平等に襲いかかったわけではない。その影響には、人々が属する階級による違いがあった。打撃を受けた階級とそうではなかった階級との「格差」がさらに拡大しつつある。特集『新・階級社会 上級国民と中流貧民』の#11では、階級・格差研究の第一人者である橋本健二・早稲田大学人間科学学術院教授に、日本社会の「階級化」が急加速する背景を解説してもらうと共に、格差是正の処方箋について聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

日本社会の全5階級で年収が激減中
特に打撃を受けた「2階級」とは?

──新型コロナウイルスの感染拡大により、経済的な打撃を受けた人とそうでない人の格差が広がりました。日本が「一億総中流社会」だと言われた時代もありましたが、それはもはや遠い昔の話になってしましたね。

 そうですね。1980年前後から格差拡大は始まっていたのですが、今回のコロナショックは、かすかに残っていた「一億総中流」への(国民の)幻想を消し去ってしまったと言えるのではないでしょうか。

 というのも、コロナは、人々に平等に襲いかかったわけではないからです。コロナの影響には、人々が属している階級による違い、つまり階級性があるのです。

──階級による違いとはどんなことですか。

 階級性には二つの要素があります。一つ目は、労働内容によって感染リスクの違いがあること。

 二つ目は、経済的なメカニズムから受ける影響の違いです。今回、コロナで打撃を受けた業種・職業に偏りがあり、さらに政府が打つ政策でも階級によって違いがありました。

──橋本先生は長年、日本社会を五つの階級に分けて、生活や労働の実態について定点観測をされてきました。5階級とは、血統・資産を持つ「資本家階級」、大企業エリートやホワイトカラーなどの「新中間階級」、自営業者や家族経営従事者などの「旧中間階級」、単純作業やサービス業・販売業などの「正規労働者」、非正規労働者の「アンダークラス」です。

 これら5階級のうち、今回のコロナ危機で大きな打撃を受けたのはどの階級ですか。