経済安保で経産省vs財務省?上級国民の椅子取りゲームは「百害あって一利なし」写真はイメージです Photo:PIXTA

岸田政権の目玉政策「経済安全保障」の
キーマンに文春砲が炸裂

「週刊文春」が、政府が進めている経済安全保障推進法案の準備室長を務めていた、藤井敏彦・国家安全保障局担当内閣審議官に関するスクープを報じた。藤井氏が、兼業届を出さずに私企業で働き報酬を得ていた疑いがあることや、「朝日新聞」の記者と不倫関係にあることがわかったというのだ。2月8日に、国家安全保障局は藤井氏を更迭しているが、それはこの疑惑が原因だと「文春」は報じている。

 政府要人が文春や新潮の週刊誌報道でクビを取られるというのは、もはや日本の日常風景となっているので、それほど驚く国民もいないだろう。しかし俗世間とかけ離れた「霞が関ムラ」には衝撃が走っていて、主に2つの「風説」で盛り上がっている。

 まず1つ目が、「不倫相手に情報漏洩していたのではないか」というものだ。

 2月2日、マスコミ各社は経済安全保障法制に関する有識者会議の提言を報じているのだが、その中でひときわ異彩を放っていたのが朝日新聞だった。各社が提言から抜粋する形で法案のポイントを整理している中で、朝日新聞の記事だけは、「法案には事業者への罰則規定も検討されており」と他紙が掲載していない「特ダネ」がすっぱ抜かれていたのだ。

 新聞がこういう書き方をするということは、「ネタ元」(情報源)が立場のある人物であるということに他ならない。それはつまり、経済安保推進法案に関して決定権を持つ政府要人、もしくは法案の準備で中心的な役割を持っている官僚――そう、藤井氏はこの朝日スクープの「ネタ元」の条件にピッタリなのだ。

「文春」が報じたように「不倫」という親密な間柄が事実なら、手柄をあげさせるために特ダネのプレゼントをしたなんてストーリーもありえる。「法案の中身」について寝物語でポロッと漏らしてしまったということだって考えられる。

 そんな“男と女のラブゲーム”的な話とうってかわって、もうひとつささやかれているのは霞が関定番のドロドロした“パワーゲーム”だ。それはズバリ、「経済安全保障利権を、財務省が本格的に奪いにきたのではないか」というものだ。