NTT帝国 復権の幻想

NTTグループと政治との蜜月は、今に始まったことではありません。NTTを巡っては、1985年の民営化、99年の持ち株会社発足以降も再編分割論議が繰り返されてきました。そんなNTTがグループの再結集、すなわち「大NTT」の復権を遂げるためには、時の政権と旧郵政省の流れをくむ総務省との「折衝」は必要悪でした。そして、デジタル貧国に成り下がった日本のICT(情報通信技術)レベルを底上げするという“お題目”において、NTT・菅官邸・総務省の3者の利害は一致していました。しかし、一連の接待スキャンダルはその「親密トライアングル」に痛恨の一撃を食らわせました。総務省幹部は失脚し、菅官邸のパワーも失速。2018年の就任以来、改革の大なたを振るってきた澤田純・NTT社長は、社内での求心力維持が危ぶまれる状況に陥っています。帝国復権に向けて猛チャージをかけていたNTT改革がつまずいた元凶を探ります。

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