「洞爺湖サミット」が終了して2週間が経った。議長国として、地球温暖化問題などで、懸命にリーダーシップを発揮しようとした福田首相は、得意の外交で地に落ちた支持率回復を図ろうとしているようだ。

 福田首相の外交手法は、近隣諸国との関係を悪化させた小泉元首相とは対照的で、「対話と協調」を重視するものである。それには高い評価がある反面、伝統的な日本の弱腰な外交政策や外国に媚びた態度、いわゆる「土下座外交」への回帰ではないかという批判もある。今日は、そんな福田外交について、サミットでも重要課題であった「アフリカ外交」を中心に考えてみたいと思う。

バラマキ援助では
アフリカは動かない

 福田首相は、5月末に横浜で開催された「第4回アフリカ開発会議」(TICAD)で、今後5年間に日本の対アフリカODAを年間約2000億円に倍増することを表明した。この、いかにも日本的な、アフリカへの「バラマキ」には、日本の国連安保理常任理事国入りにアフリカ諸国の支持を得たいという思惑があるのは言うまでもない。 

 しかし、私は「バラマキ」でアフリカは動かないと思う。なぜなら、「援助」が強い外交カードとなるのは、それを与える直前までであって、「援助」は与えてしまったその瞬間に、カードとしての力を失うからである。

 例えば、日本が援助した国に対して「日本への支持」を求めた時、「まだまだ援助が足りないので」と渋られたらどうだろう。それに日本が怒っても、その国は困らない。既にお金を貰っているからだ。逆に日本は、その国の支持は得られず、与えたお金も返ってこないわけだ。「援助」は与える側より、貰った方が強いのだ。

 その上、「アフリカ人」は実にしたたかである。私は7年間の英国滞在中、いろいろなアフリカ諸国のエリートたちに会った。彼らには「貰えるものは遠慮なく貰うけど、それで相手の影響下に入ることは敏感に避ける」という共通な特徴があった。