
熊野英生
企業の成長で大きなポイントになってきた人材や技術力、組織文化などの「無形資産」が財務諸表には載ってこない、という「盲点」が日本経済の成長のネックになりかねない。「バランスシート」が“過小評価”されて、十分な融資を受けられずに成長のチャンスを逃がしてきた中小企業も多いのではないか。

第230回
黒田東彦総裁の任期切れまで約1年となっている。次期日銀総裁が選ばれる時期が任期の2018年4月よりも手前だとすれば、次期総裁の決定まで1年間を切ってしまったと考えたほうがいい。どんな人物が好ましいのか。

第228回
しばしば人口減のなかでの「生産性上昇」が論議されるが、具体的な経済政策の内容まで突っ込んで言及されるケースが少ない。実際にはどうしたらよいだろう。

第226回
トランプ大統領が1月20日に正式に就任。就任初日にいくつかの基本政策が発表された。今後の優先政策となるものだから整理して、それによって導かれる結果を考えてみたい。

第224回
イベントリスクを挙げると、きりがないというのが2017年を臨む現在の状況である。ならば、現在から見通すことのできる経済の変化について、2017年のチャンスになりそうだと思える点を中心に考えてみたい。

第221回
米国次期大統領にトランプ氏が決まり、日本経済の未来に暗雲がたちこめている。目下の焦点は、TPPの行方である。米国が抜けるのであれば、多くの国々における貿易連携の相乗効果が失われる懸念がある。

第218回
日銀の黒田総裁の任期はあと残り1年半を残して、総括的な検証を行った。そこでイールドカーブ・コントロールを打ち出した本当の狙いは、国の利払費を先々まで最小限に抑えることではないかと考えられる。

第217回
2014年春以来、消費の低迷がずっと続いている。この間、勤労者世帯の給与所得はプラスの伸びになっている。どうして家計所得が増えているのに、消費が増えないのだろうか。

第215回
経済発展と人口減少社会を両立させる方法はある。省力化を強力に進めながら、生産性を高めるという道である。変化に柔軟な社会をつくることが、解決への道である。

第213回
道で大金が入った封筒を拾ったとしよう。あなたはそのお金をどうするか。実際は、ただで得られるお金など、世の中に存在するはずがない。それを拾ったら、どこかで必ずツケが回ってくる。今議論されているヘリコプターマネーが、まさにそれだ。

第211回
6月23日の英国の国民投票は、大混乱の引き金になった。多くの人にとって、リーマンショックを彷彿とさせる出来事に見えるだろう。しかし、その連想は正しくなさそうだ。実体よりも見えない不安に駆られる市場心理の背景を読み解こう。

第209回
安倍首相は消費増税延期を表明する構えだ。もしもそうなれば、様々な政策プランが組み直されることは必至だ。とりわけ、日銀が導入したマイナス金利政策は、その意義を考え直す必要に迫られるだろう。増税延期によって逆作用が始まるからだ。

第207回
日本の経済成長率を加速させるためには設備投資の増加が必要という言い分は、マクロ的な観点に立ったときの成長条件ではあるが、個々の企業にとっての合理性とは必ずしも一致しない。今の日本にとって、設備投資を上向かせることは本当に可能なのか。

第204回
マイナス金利政策が始まって運用難が深刻化するなか、マネーが流入するのではないかと見られるのが不動産市場である。J-REIT指数は急上昇している。不動産バブルは本当にやって来るのか。過去の地価上昇時と比較しながら、その行方を占う。

第201回
タンス預金が急増している。筆者の試算では、足もとの銀行券発行残高92.5兆円のうち44%がタンス預金になっていると推定する。世間で言われているように、マイナス金利への不安がタンス預金の残高を押し上げているのか。不安の深層心理を考察する。

第198回
日銀が驚きのマイナス金利に踏み込んだ。わが国の金融緩和は、副作用が大きく、将来の金利変動リスクを溜め込むような不健全な領域にまで迷い込んでしまった。彼らは追加緩和予想を上手にコントロールできると、本当に信じているのか。

第195回
今年波乱を巻き起こすとすれば、その第一候補が中国リスクだろう。リスクの大きな要因は、米国の利上げを睨んで進む人民元の切り下げだ。昨年8月にも連鎖株安を招いた人民元の切り下げ圧力が増すと、日本への影響も大きいと見られる。

第192回
新・三本の矢が目指すものは、女性やシニア層が安心して労働参加できる「1億総活躍社会」の実現だという。しかし、それで本当に「豊かな社会」が成し遂げられるのだろうか。筆者はむしろ、企業が年功賃金を回復させることのほうが先決だと思う。

あまり知られていないが、これから日本は高齢者の数さえ増えない人口減少の新局面に突入する。しかも、高齢者が増えにくくなっても、現役世代の負担はより重くなる可能性が高い。日本の経済政策は、このような状況に対応できるのか。

第186回
映画の世界で大ヒット映画の続編がつくられて、成功する事例はごく稀である。先日、安倍首相が発表した「新・三本の矢」は、はっきり言って、その「映画の続編」に近い印象だった。筆者なりに新しい三本の矢を吟味して、その建て直し案を検討したい。
