
2015.5.13
色褪せてきた成長戦略・国家戦略特区を問う
毎年6月に「日本再興戦略」が更新され、安倍政権の成長戦略が描き直される。ただ、当初抱いていた期待感の大きさと比べると、かなり色褪せてしまった感は否めない。改革を加速する突破口である「国家戦略特区」の運用状況について振り返りたい。
第一生命経済研究所首席エコノミスト
1967年山口県山口市生まれ。1990年日本銀行入行。2000年第一生命経済研究所入社。2008年より日本FP協会評議員を兼任し、現在常務理事。山口県のやまぐち産業戦略アドバイザーも兼任。専門は、金融・財政政策、経済統計、為替など金融市場。金融教育、金融知識普及はライフワーク。過去に生活設計診断システムの基本設計を大手システム会社のSEと共に構築した。
2015.5.13
毎年6月に「日本再興戦略」が更新され、安倍政権の成長戦略が描き直される。ただ、当初抱いていた期待感の大きさと比べると、かなり色褪せてしまった感は否めない。改革を加速する突破口である「国家戦略特区」の運用状況について振り返りたい。
2015.4.8
巷には、人口減少によって地域経済が疲弊するという通念がある。しかし筆者は、これに異論を挟みたい。自然増減と社会増減という、人口減少の2つの要因を合わせて考えて見ると、違った角度から人口減少の実態と地域創生のヒントが見えてくる。
2015.3.11
2月の米雇用統計は、予想を超える力強さだった。このペースで雇用拡大が続けば、金融当局は6月のFOMCの際にも利上げに着手するだろう。株式市場にとって「鬼門」と言われる利上げの影響はどれほどか。過去の利上げと比較しながら考察しよう。
2015.2.4
欧州のマイナス金利のしわ寄せを受けたこともあり、国債利回りがマイナス金利となる異常な状態が続く日本。2月初にマイナス金利は一旦解消しているが、今後再びマイナスに沈み込む可能性もある。極端な金利低下に潜む潜在リスクを考えよう。
2015.1.16
平和で優しいイメージの未(羊)年とは打って変わって、日本や世界は課題山積。著名な識者に、新年を予想する上でキーとなる5つのポイントを挙げてもらった。今回は、熊野英生・第一生命経済研首席エコノミストの見通しをお伝えしよう。
2015.1.14
日銀が量的・質的金融緩和を始めて、間もなく2年が経つなか、原油価格の下落には歯止めがかからない。日銀の物価見通しについては、前提となる原油価格や為替の水準は公表されていない。2014、15年度のコアCPI見通しの下方修正は必至と見られるが、…
2015.1.7
2015年の景気は出だしがよい。日本経済の好発進を示す、非常に強い経済データがいくつも発表されている。問題は、その出足がさらに先行きの持続的拡大にスイッチできるかどうかである。新年1回目は、筆者なりに好材料と不安材料を考察してみよう。
2014.12.24
原油価格は12月、WTIで50ドル台の水準まで低下した。今後、日本経済にとってその影響はどう出るのか。実は1980年代にも、今のような「逆オイルショック」の状況があった。当時の状況を踏まえ、2015年に訪れる「トリプルメリット」の予想しよう。
2014.12.10
総選挙が14日に迫っている。このタイミングを捉えて、安倍政権がアベノミクスを通じて成し遂げたことと、道半ばのことを峻別しておく価値はあろう。アベノミクスの「トリクルダウン」はなぜ利きにくいのか。その背景を徹底検証しよう。
2014.12.3
今回の衆議院選挙が日本経済の行方を左右する重要なイベントであることは、重々承知だ。だが、今ひとつ盛り上がりに欠けると感じる。消費税増税を先送りして、一体何を目指すのかがぼんやりしているからだ。私たちは何を各政党に求めるべきか。
2014.11.26
7~9月期のGDPは市場の予想を大きく下回った。日本は、景気後退局面とも見られかねない状況にある。ただし、足元は2012年のような世界中真っ暗の景気後退局面とは異なる。筆者は2015年度に向け、景気回復への「トリプルメリット」が訪れると見る。
2014.11.12
10月末、日銀は追加緩和に打って出た。これは多くの市場参加者にとってサプライズだった。黒田総裁の説明は、それまでの日銀の説明と著しく一貫性を欠いていたからだ。それは、10月上旬に行なわれた金融政策決定会合の議事要旨を見ると明らかだ。
2014.11.5
10月31日、日銀が意表を突いて追加緩和に打って出た。金融政策の主要な武器が、為替への影響力に移っていることは明らかだ。日銀はこれからも、物価上昇率2%を目指して、円安圧力を働かせる追加緩和を発動し続けるのだろうか。
2014.10.29
足もとの為替相場は、一時は110円台と6年ぶりの円安水準になった。筆者が為替について長らく持っていたストーリーラインは、「達磨さんが転んだ」というものだ。ゲームのルールを決める「鬼」としての主導権は、いつも米国サイドにあった。
2014.10.15
最近、黒田日銀総裁の発言などを観察すると、「CPI前年比2%」という物価安定目標の達成時期の目処としてきた「2年」という時間軸が、柔軟化していることを感じる。日銀は追加緩和よりも、フォワードガイダンスの再設計に動くのか。
2014.10.8
足もとで進む円安に対して、企業経営者などから批判的な意見が数多く述べられるようになった。筆者は、マクロ経済が正常化していく過程で円安のモメンタムが止まってしまうことは、マイナスだと思う。改めて円安のメリット・デメリットを考えよう。
2014.10.1
景気は本当にいいのか、それとも悪いのか――。足もとの景気局面は、アベノミクスが始まった2012年末以来の景気循環のなかで、初めて不安が生じた局面でもある。現状は、2013年以降、脱「失われた20年」とした転換の潮流にあると筆者は思う。
2014.9.17
日銀には、「物価の安定」を通じて「国民経済の健全な発展に資する」という2重の理念がある。だが、日本経済に潜在成長率の低さという実質概念上の問題が存在するなか、名目の理念である物価安定目標を達成することに、整合性はあるだろうか。
2014.9.10
値上げラッシュのなか、肝心要の賃金上昇は6月になってようやく上昇開始が確認されるようになった。ただし、勤労者が極めて多い事業所規模5~29人の中小企業では、賃金上昇率がわずかに止まる。その背景には、社会保険料負担の「影」が見える。
2014.9.3
8月半ばに各国の長期金利は、各地で節目となる水準を割った。日本では国債が低金利で買えないと言われながらも思いのほか金利が低下したが、欧州の状況はこれと類似する。国債を「コメ」とすれば、日本から見て欧州はまだ主食代替に見えやすい。
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