
2023.10.12
デフレ脱却「4条件」満たされても、政府の“脱却宣言”が出そうにない理由
需給ギャップがプラスになり「デフレ脱却の4条件」が満たされたが、脱却宣言は出そうにない。「デフレ脱却」は政権の経済政策への求心力を高めようという政治的思惑からのキャッチフレーズという面が色濃いからだ。
野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト
きうち・たかひで/1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。著書に『異次元緩和の真実』(日本経済新聞出版社)、『金融政策の全論点』(東洋経済新報社)、『決定版 銀行デジタル革命』(東洋経済新報社)、『トランプ貿易戦争』(日本経済新聞出版社)、『世界経済、最後の審判 破綻にどう備えるか』(毎日新聞出版)、『プラットフォーム経済圏 GAFA vs. 世界』(日経BP)(2019年5月27日発売)がある。
2023.10.12
需給ギャップがプラスになり「デフレ脱却の4条件」が満たされたが、脱却宣言は出そうにない。「デフレ脱却」は政権の経済政策への求心力を高めようという政治的思惑からのキャッチフレーズという面が色濃いからだ。
2023.8.30
中国経済は物価と不動産価格の「ダブル・デフレ」の様相だが、潜在成長率の下方屈折や対米貿易摩擦で内需拡大に走り不動産市場過熱の後遺症が長く残るなど、日本が歩んだ道と酷似する。中国経済の“日本化”はあり得る。
2023.8.2
米国ではインフレが減速、消費者物価や中長期のインフレ期待の上昇率は日本が上回る「日米逆転」になった。日本の個人のインフレ期待は大幅に上昇しており、日銀はYCCの運用柔軟化を決めたが、緩和の度合いを弱める本格的な政策修正に早期に踏み出…
2023.7.5
日銀の「緩和維持」が続き市場では政策修正の予想が後退し円安再加速、株高が進む。だが緩和が行き過ぎた円安・株高を生むリスクがあり、植田日銀は物価目標達成が難しい場合でも緩和の枠組み見直しをする可能性が強い。
2023.6.9
米国のハイペースの利上げの影響は企業の過剰債務が歴史的な高水準にあるなか、企業セクターで問題が顕在化し、金融不安は低格付け企業向けの資金供給チャネルが危機の震源地になる可能性がある。
2023.5.12
コロナ対応が「平時」になり、水際対策緩和で訪日外国人客数は8月にはコロナ禍前の水準を上回る見通しだ。インバウンド需要は成長戦略の柱として有望だが、高付加価値化や地方への誘致などの課題がある。
2023.3.31
クレディ・スイス買収劇は、政府による銀行救済と民間のディールが組み合わされた。損失処理で国民に負担が及ぶ懸念があるほか、AT1債が無価値になって投資家は損失を被り銀行も自己資本確保に強い逆風だ。
2023.3.2
日銀の新総裁候補、植田和男氏の国会での答弁から判断すると、日銀はゆっくりながら金融政策を大きく修正するとみられる。マイナス金利政策やYCCといった緩和の枠組み見直しなど「3つの優先課題」が浮上する。
2023.1.20
金融政策の正常化は新総裁体制でYCCの金利変動幅再拡大と物価目標の見直しを先行した後、マイナス金利解除へと進むが、YCCは温存される見通し。米景気などの動向次第では正常化は24年半ば以降に後ずれも考えられる。
2023.1.11
防衛費増強の財源とされる増税は「24年度以降に」先送りされ、歳出削減も不透明な一方で、艦艇などの建造にタブーとされた建設国債が充てられる。なし崩し的な国債増発リスクが高まる。
2022.12.1
FTXの破綻は、コロナ禍の巣ごもりや超低利による暗号資産ブームの終焉(しゅうえん)を象徴するが、次は超金融緩和下で資金を集めてきたハイイールド債などの高リスク資産が大きな価格調整に見舞われる可能性がある。
2022.11.10
政府は「資産所得倍増計画」でNISAの抜本拡充を打ち出したが、成果を出すには、金融教育や金融機関教育、企業の成長力を強め株式投資の期待収益率を高める成長戦略を一体となって進める必要がある。
2022.9.28
円安が加速する中、政府が行った円買い介入は日本の単独介入であり円買いは外貨準備の制約があるため効果は限定的だ。米国が景気減速で利上げを縮小するまでの時間稼ぎの要素が強い。
2022.9.2
「歴史的物価高」は、ウクライナ戦争長期化でコストプッシュインフレに対して主要国が利上げや通貨引き上げを競っている状況を考えると、景気減速という犠牲を払う形で収束するシナリオが現実的だ。
2022.8.4
FRBの利上げや「テラUSD」の暴落を引き金に暗号資産の時価総額はピークの3分の1に縮小している。市場参加者が多様化する中で今回の調整局面は金融システムへ波及するリスクもはらむ。
2022.7.6
参院選で各党が掲げる物価高対策は「バラマキ」の色彩が強く財源も不明だ。金融政策を修正し円安を抑制する一方で、成長戦略強化で生産性を高め物価高に対する耐性を強めることが正攻法だ。
2022.6.3
ウクライナ戦争による成長減速が顕在化し始めたが、今後、対ロ制裁が強化されればロシアは資源大国の地位を失う可能性がある一方で、世界経済もエネルギー価格高止まりなどによる「両刃の剣」のリスクを覚悟する必要がある。
2022.5.11
約20年ぶりの円安は内外金利差の拡大が底流にあるが、日銀は「円安は日本経済にプラス」として緩和政策を維持する。だが貿易構造の変化やコロナ禍で内需産業の打撃の大きいことを考えれば円安加速のリスクに目を向けるべきだ。
2022.3.30
利上げ開始で金融政策正常化に踏み出したFRBだが、今後の利上げを急速なペースで進めるとの予想が強い。だが短めのタームのイールドカーブを重視するやり方は景気を冷やし過ぎるリスクがある。
2022.3.2
岸田首相の「新しい資本主義」は株主重視から「ステークホルダー資本主義」への移行と賃金低迷問題の解決をセットで目指しているようだ。だが企業統治の問題に政府が関与するのは注意が必要だ。
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