
木内登英
約20年ぶりの円安は内外金利差の拡大が底流にあるが、日銀は「円安は日本経済にプラス」として緩和政策を維持する。だが貿易構造の変化やコロナ禍で内需産業の打撃の大きいことを考えれば円安加速のリスクに目を向けるべきだ。

利上げ開始で金融政策正常化に踏み出したFRBだが、今後の利上げを急速なペースで進めるとの予想が強い。だが短めのタームのイールドカーブを重視するやり方は景気を冷やし過ぎるリスクがある。

岸田首相の「新しい資本主義」は株主重視から「ステークホルダー資本主義」への移行と賃金低迷問題の解決をセットで目指しているようだ。だが企業統治の問題に政府が関与するのは注意が必要だ。

インフレ圧力が強まる欧米に比べ日本の消費者物価が落ち着いているのは、日本企業が値上げや雇用・賃金政策に慎重なことがある。だが物価安定が日本の「弱み」に転じる可能性がある。

2022年の世界経済の安定した回復の鍵を握るのは物価と金融政策正常化の動きだが、懸念されるのは、物価高騰が予想以上に長引きFRBが景気を犠牲にして利上げを進めざるを得ない状況になることだ。

賃金引き上げ策で重要なのは、日本経済の成長力や労働生産性を高め、企業が自ら賃金を引き上げる環境を作ることだ。無理に強いれば潜在成長率が損なわれ、結局、賃金上昇が妨げられる。

FRBが11月にも量的緩和の縮小を始めると予想されるが、市場が準備すべきはその先の利上げ開始だ。長い緩和でバブル化した金融資産市場の急落や新興国からの資金流出が懸念される。

岸田新政権の経済政策は財政・金融総動員の「安倍カラー」が薄れ、潜在成長力引き上げが最優先課題になる。「成長と分配の好循環」を掲げるが、まずは「成長」を実現する戦略が重要だ。

菅義偉首相の自民党総裁選不出馬表明を受けて、市場は円安・株高となった。来る衆議院議員選挙で自民党大敗のリスク低下を好感したと思われる。現在、立候補を表明、または検討している候補者の経済政策について予測、分析してみた。

日本銀行が始める「グリーンオペ」は気候変動問題対応の世界の潮流に合わせたものだが、やれる手段は限られており、下手をすれば本来の責務の物価目標の達成には矛盾することもあり得る。

10年近く議論が続いてきた多国籍企業の課税逃れ対策でデジタル課税導入などが大筋合意されたのは、新型コロナウイルス感染問題と米バイデン政権誕生という2つの想定外の要因が後押しした。

ビットコイン値下がりの直接の引き金は代金として受け入れを表明した米テスラ社の方針撤回だが、経済再開によるコロナ相場の終焉や環境負荷の問題でコロナ後、逆風は一段と強まりそうだ。

超金融緩和が長引き米金融市場は過熱の兆候が多く見られる。ノンバンクへの規制強化の動きがあるがいたちごっこだ。FRBは行き過ぎた感のある緩和の正常化の検討を始める時だ。

バイデン米大統領と菅首相は4月16日に首脳会談に臨み、その後、共同声明が発表された。バイデン政権は中国への対抗を強く意識して、安全保障、経済、地球温暖化対策、人権問題など幅広い分野で同盟国が一枚岩となって結束し、中国包囲網を形成することを目指している。これに対して日本政府は、尖閣諸島問題を中心に安全保障面での日米の強い結束を望む一方、日中間での経済関係の悪化を避けたいと考え、そのために人権問題などで中国を過度に刺激したくない、というのが本音である。

金融市場が注目してきた日銀の「金融緩和の点検」結果が、先日の金融政策決定会合で発表された。日銀は、従来の政策の枠組みが妥当であることを会見で強くアピールした上で、いくつかの政策措置の修正に言及した。しかし、彼らの本当の狙いは別にありそうだ。

日本銀行は「金融緩和の点検」を行ない、3月の金融政策決定会合でその結果を公表する予定だ。日銀は政策の枠組みを見直さないと断言しているが、だとしたら点検を大々的に予告をしているのはなぜか。日銀の真意を考察する。

アント・グループの上場延期以降、中国当局による金融の統制強化が加速している。アントは金融持ち株会社を設立して、金融事業の大半をそこに移管することを検討中だ。当局の軍門に下る企業が増え続けることへの懸念は、中国に留まらない。

12月17、18日の日銀金融政策決定会合は、無風で終わるとの大方の予想を裏切った。コロナショック後に物価上昇率が2%の物価目標から一段と乖離したことを受け、金融緩和を「点検」する方針を示したのだ。日銀の狙いとは何だろうか。

日中韓をはじめアジア・太平洋地域の15ヵ国は、この度RCEPに正式合意した。中国の牽制役を期待していたインドの不参加は、日本にとって誤算だった。しかしそれを割り引いても、日本がRCEPに参加したことのメリットは大きい。

10月のG7財務相・中央銀行総裁会議は、中国のデジタル人民元を、名指しこそ避けながらも、強く牽制した。経済安全保障上の観点から、日本も中銀デジタル通貨の発行を検討すべきとの議論が高まっている。しかし、日本がデジタル通貨を発行する真の意義は他にある。
