
木内登英
日本銀行は水面下で、異例の金融緩和策のリスクを管理・軽減する措置や事実上の正常化に向けて、試行錯誤を続けている。しかし、これまでは正常化策へと大きく舵を切れなかった。菅政権下では金融政策を変えられるのだろうか。

米FRBは、早ければ9月15・16日に開かれる次回FOMCで、物価目標政策の新しい方針を発表する。しかし、現在のFRBが行う物価目標政策には、実効性に疑問符がつく。経済や金融の安定性を損ねてしまう可能性も、否定はできない。

2020年5月の東京都から他道府県への転出者は、転入者を1069人上回り、集計開始以来、初めての転出超過となった。東京一極集中の弊害は長く言われてきたが、コロナ禍でその是正が進めば、日本経済にどんな影響が出るのかを考えよう。

日本銀行は先日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決め、コロナ対応の「特別プログラム」の総枠を約110兆円+αへと引き上げた。彼らは企業の資金繰り支援と金融市場の安定に軸足を置いているが、2%の物価安定目標はどこへいってしまったのだろうか。

米国と比べて日本では、失業率が2桁まで上昇することは考えにくい。だがこのコロナショック下では、戦後最悪の6%台まで失業率が上昇する可能性がある。「隠れ失業者」も含めると11%を超えるシナリオさえ現実味を帯びて来るのだ。

株式市場は以前よりも安定を取り戻したように見えるが、これで金融市場の危機が去ったと考えるのは楽観的過ぎる。金融危機はいつも違った顔で現れる。だから、危機を防ぐことは難しい。コロナ金融危機はどんな顔で現れるだろうか。

金融市場の不安定化する中で各国中央銀行は金融危機回避で危機対応モードを強め、金融政策の中心は金利から再び「量」に戻し始めた。FRBは社債買い取りを視野に入れ、日銀は再び長期国債買い入れ増に向かう可能性がある。

中国が発行を準備するデジタル人民元は、米国の通貨・金融分野での覇権に風穴を開けることを狙ったものだ。中国にとって人民元の国際化は、国の威信をかけた目標にとどまらず、まさに死活問題でもある。背景にはどんな事情があるのか。

2020年の日本銀行の金融政策運営には、財政政策との適切な関係維持やマイナス金利の解除など、いくつかの大きな課題がある。しかし課題克服のためには、政策が為替に過度に左右される現在の体質から、抜け出さなければいけない。

2020年には、米FRBは金融政策を維持する可能性が高い。金融緩和へとにわかに転じた2019年と比べ、2021年は平穏な1年となるかもしれない。しかし、FRBにはなお課題が山積している。これから本気で向き合うべき課題とは何か。

米中の貿易協議は部分合意に向けて進んでいるが、それで両国間の対立が解消に向かうわけではない。今後中国は経済成長を維持するために、独自の経済圏を構築していく可能性がある。場合によっては、東西冷戦の時代が再び訪れかねない。

米トランプ政権下で、ドルの基軸通貨体制の問題点が際立ってきた。その背景には、フェイスブックが発表した新デジタル通貨・リブラ計画への対抗という側面もある。これから主要通貨は未知の覇権争いに突入する可能性がある。

10月1日の消費税率引き上げが、いよいよ目前に迫ってきた。国内経済の先行きに不安が広がる可能性もあるなか、政府がとるべき対策は財政拡大や金融緩和ではなかろう。真に必要となる経済政策とは、どんなものだろうか。

FRBに対するトランプ大統領の激しい攻撃は、収まる兆しが見られない。しかし、それに対する米国民の批判の声は聞こえてこない。それはなぜか。国民がFRBの独立の重要性を十分に理解しているならば、トランプのこうした姿勢を強く批判するはずだ。

米フェイスブックが公表した新しいデジタル通貨「リブラ」(Libra)計画について、G7財務相・中央銀行総裁会議では、「最大限の規制が必要」との意見で各国が一致した。背景には、金融システム不安化への懸念がある。果たしてリブラのリスクと意義とは。

FRBが7月にも利下げに動くとの観測が強まるなか、日本銀行もそれに続くのではないかとの見方が出ている。日銀が追加緩和を行うとすれば、残された手段とは何だろうか。2016年に示された4つの追加緩和の選択肢を、もう一度検証しよう。

合意間近とされていた米中貿易協議は、5月上旬に一転、決裂状態へと陥った。米中貿易戦争の激化は、中国が新興国の盟主として、独自の経済圏を徐々に形作っていく流れを後押しするかもしれない。日本はどう対処すべきだろうか。
