
長井滋人
コロナワクチン開発成功と米大統領選の結果を受けて、金融市場は一気にリフレ相場モードに入った。株高による資産効果や資金調達環境の改善などを通じて、経済が好循環に入ることが期待される一方、気になるのは米国と欧州における長期金利上昇の動きだ。

コロナ禍で資産運用にもニューノーマルの兆しが見える。投資家の間で、「先進国は安全で新興国は高リスク」という固定観念を見直す動きも出始めた。一段と長期停滞の様相を深める先進国中心の運用は、限界を迎えつつある。果たして新興国シフトは起きるのか。

韓国経済については財閥系のハイテク大企業の躍進に関するニュースが目立つが、経済全体を見ると近年はむしろ苦戦を続けている。

コロナ禍の収束が見えない中、各国の大規模な金融緩和の影響で、金融市場はバブル的な様相を呈し、世界的な金融危機発生への懸念も高まっている。特に気になるのが、割高感の際立つ米国株価の持続可能性だ。ハイテク株主導の米国市場に迫る「3つの試練」を考えよう。

1990年代以降の経済グローバル化の主役は、低賃金の豊富な労働力を目当てに先進国企業が進出して「世界の工場」となった中国だった。ただ、当初は他国で製造された中間財を組み立てた最終財の輸出に終始したため、輸出額の大きさの割に中国自身の儲けは少なかった。

新型コロナとの闘いの最前線は、先進国から新興市場国や発展途上国へ移ってきた。保健衛生体制の未整備などからコロナ感染で死亡者が増えやすいことも心配だが、ロックダウンによる経済活動急停止のダメージも間接的に人の命を脅かす。

新型コロナウイルス感染症による減収家計や中小企業への給付金支給が遅いことへの批判に際し、迅速さの点でよく引き合いに出されるのがドイツなど欧州各国の対応だ。

新型コロナウイルスの感染拡大で動揺する世界経済に追い打ちを掛けたのが原油相場の急落だ。3月9日のブレント先物価格は一時最大31%も下落、1バレル=31ドルの安値を付けた。湾岸戦争以来の落ち幅だ。

米国で広がる都市間の成長力格差、成長政策を巡る競争が鍵
トランプ米政権の経済政策への賛否のバラツキが示すように、米国は地域によって経済構造や産業構成が大きく異なる。米国への投資に際しても国ベースだけでなく、都市圏別の成長予測の視点が重要だ。

成長が減速しても海外旅行者数の増加が最も期待できる中国
2020年にインバウンド観光客4000万人という政府目標を達成できるかどうかは微妙なところだ。オリンピック・パラリンピックの年には通常の観光客が敬遠する傾向もあり、あと一工夫が求められる。

韓国経済に潜む危機、高水準の家計債務は韓国銀行のアキレス腱
韓国経済の減速が目立ち、デフレの懸念すら台頭してきた。輸出や設備投資中心の不振が消費など内需に波及していくと総崩れになってしまう。

移民なしでは生産年齢人口が減少に転じる米国 移民抑制で成長率低下へ
米国大統領選挙が近づくにつれて、トランプ政権による反移民政策はさらに先鋭化していくだろう。中でも経済成長という点では、移民の制限は米国にとってマイナスである。

ロボットの普及で低スキルの職を代替 所得格差も進む
ロボットの普及が加速している。世界の産業用ロボットの普及台数は225万台となり、過去20年で3倍に拡大した。国際ロボット連盟の短期予測などを基に推計すると、2030年には2000万台に達する見込みだ。日本のようなロボットに競争力がある国にとっては朗報だろう。

米国でも転職が低調で物価上昇の足かせに世界規模で職の安定志向
中央銀行がいくら頑張ってもなかなかインフレ率が2%に到達しない悩みは、先進国共通の課題だ。その大きな原因である賃金の伸び悩みも日本だけの問題ではない。

中国が一帯一路の下で発展途上国への融資拡大不透明性も懸念
世界的なカネ余りを背景に、投資家は新興市場に飽き足りず、経済や金融市場が十分に発達していないフロンティア市場と呼ばれる発展途上国への投資を急拡大させている。アルゼンチン、ベトナム、バングラデシュ、ウクライナなど代表的なフロンティア市場16ヵ国の公的債務のGDP比率は、2011年の46%から、18年末には66%に達した。
