2023.2.1
金融政策の鍵握る「サービス価格」、エネルギー価格影響の“読み間違い”リスク
供給サイドのインフレ要因は後退しているが、欧米先進国の中央銀行はタカ派的な姿勢を崩していない。今後の利上げ停止の時期や、その後に続く据え置き期間や利下げ転換時期について、市場の見方は大きく分かれ、大きな不確実性要因となっている。中…
オックスフォード・エコノミクス在日代表
ながい・しげと/2017年から英国の調査会社オックスフォード・エコノミクスの日本経済の分析を主管し、同社の世界経済見通しの策定に参画。それまでは日本銀行に勤務し、国際局長や欧州統括役、海外調査担当課長として、海外経済に関する情勢判断に携わった。1990年代には国際通貨基金へ出向。アジア金融協力や外貨資産運用の経験も長いほか、金融政策に関する海外に対する情報発信にも一貫して従事。86年東京大学経済学部卒業、タフツ大学フレッチャー法律外交大学院で国際関係論修士を取得
2023.2.1
供給サイドのインフレ要因は後退しているが、欧米先進国の中央銀行はタカ派的な姿勢を崩していない。今後の利上げ停止の時期や、その後に続く据え置き期間や利下げ転換時期について、市場の見方は大きく分かれ、大きな不確実性要因となっている。中…
2023.1.4
今年(2023年)の世界経済を展望すると、先進国を中心に多くの国が景気後退入りすることに議論の余地は殆どなく、今後の焦点は、景気後退がマイルドに止まるのか、深刻化するのかという点だ。今年の景気後退が多くの国で不可避となる理由に加え、景…
2023.1.2
中国経済は2010年代に平均8%近い高成長を遂げたが、今後10年間は4%台にまで大きく減速する見込みだ。ここで不動産バブルの処理に失敗すると、一段の失速は避けられない。不動産市場の過熱は著しい。住宅の新規販売価格の対所得比率は、全国平均で…
2022.12.5
コロナ発生直後の世界経済の落込みは、国際金融危機の時を遥かに上回り、大恐慌に匹敵する規模だったが、世界各国が大胆な金融緩和と財政発動に躊躇なく踏み切ったことで、世界経済のV字回復が可能となった。しかし、有効であった財政政策は、短期…
2022.11.7
英国史上最短の45日で終わりを迎えたトラス政権。政権交代をもたらしたポンドと国債価格の急落、その後の戻しの振れ幅はすさまじく、わずか3週間で国債の価値が30%も下落したことになる。
2022.11.1
米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ抑制を最優先に、金融引締めを一段と強化し、景気後退入りも辞さない姿勢を明確にしている。景気後退を招いても、利下げに転じることで対処可能とFRBは考えているようだ。しかし、利下げで景気後退が収まる…
2022.10.3
中国の経済成長は、22年に3.2%、23年も4.9%と、5.5%の成長目標には程遠い低成長が続く見通しだ。現在の中国の成長伸び悩みは、より深刻な構造的な問題がもたらす長期的な成長率低下だ。英経済調査機関の在日代表が、成長会計アプローチで中国の…
2022.9.1
相場を動かす要因は、金利差や対外収支の変化、地政学リスクなど様々で、局面によって主役も入れ替わる。しかし、その中で一貫してドル高基調は続いている。ドル高が今後どれだけ続くかは、ドル円相場の帰趨に止まらず、世界経済の成長の持続性とい…
2022.8.29
ウクライナ戦争の経済的ダメージは欧州において飛び抜けて深刻だ。パイプライン経由の天然ガスを中心に、欧州連合(EU)全体の消費エネルギーの24.4%をロシアからの輸入に依存していることが大きい。このアキレス腱ともいうべきガス供給が、ウクラ…
2022.8.1
高インフレに収束の兆しがみられず、米国だけでなくユーロ圏でも中央銀行が利上げの大幅前倒しに追い込まれているなかで、市場は利上げによる景気後退への懸念を強めている。最悪の展開として恐れられているのがスタグフレーションだ。スタグレーシ…
2022.7.1
リスク・ヘッジの手法のひとつに、株式と債券の双方に投資することによるポートフォリオ分散がある。相場のサイクルによって株式と債券のウェイトを調整し、投資全体のリターンの変動を小さく出来る。しかし昨年から株安と債券安が同時に起こり、ポ…
2022.6.20
米国の中央銀行による利上げ加速で景気後退観測が高まっている。中でも30年の固定住宅ローン金利は昨年末から2%超も跳ね上がり、住宅市場に影を落とす。株価に加えて住宅価格まで変調を来すと個人消費へのダメージも大きい。
2022.6.1
インフレが高まっていることでFRBは金融引き締め姿勢を強めているが、金融引締めが行き過ぎ、景気のオーバーキル懸念も高まっている。景気後退を招かずにインフレを鎮静化させる、いわゆる軟着陸の難しさに注目が集まっている。銀行の与信基準とい…
2022.5.2
米国が国際基軸通貨ドルの持つ圧倒的な優位性を使った金融制裁に踏み切ったことで、米国が地政学的な紛争の解決手段として金融制裁を行うことに躊躇しない時代に入った。これは不可逆的な変化であり、米ドルへの過度の依存を避ける取組みが本格化す…
2022.4.18
経済制裁がロシア経済へ与えるダメージは甚大だ。10%を超える異例の利上げで金融面の大混乱は取りあえず回避しているが、実体経済への影響はこれから本格化していく。
2022.4.1
日本の物価の上がり方は、2%を一時的に超える程度で限定的だが、賃金の回復が緩慢なため、家計の実質可処分所得は2%ほど減少する見込みだ。資源価格上昇がもたらすデフレ圧力は、日本経済のアキレス腱で、「失われた20年」の大きな原因のひとつ。…
2022.3.1
12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は予想以上にタカ派的。金融市場は利上げ開始時期の見通しを一段と前倒しにした。しかし、株式市場は同議事要旨公表後も落ち着いた動き。為替市場でも円安(ドル高)は進行していない。利上げ前倒しに対…
2022.2.21
脱炭素社会の実現には桁違いのお金がかかる。巨額の設備投資など企業の負担ばかりに注目が集まっているが、個人が普段の生活を通じて住宅で排出する炭素も膨大な量だ。この削減を図るには住宅改修など大きな負担が家計にも生じることを覚悟すべきだ…
2022.1.31
行き過ぎた円安への懸念が高まっている。これに対し、日本銀行は一貫して「円安は日本経済にとってプラス」と主張し、1月の展望レポートでは、主張を裏付ける精緻な分析を示した。ただ、円安が及ぼす影響は複雑だ。プラスかマイナスかは、企業と家…
2022.1.7
日本経済に対する海外の関心が加速的に低下しており、日本は、じり貧を続ける「かつての経済大国」との見方が定着している。一方で、日本は、財の輸出ではなく資本の輸出で稼ぐ「資本輸出国」へ目覚ましい変化を遂げつつある。経常収支の構造変化を…
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