
坂口孝則
アベノミクスなる政策が終わりに近づき、日本で金利が上がり、日本銀行が国債を買い続けることを改めたら…コロナ禍であっても20年と21年の企業倒産件数は減少傾向にあった。しかし、22年は違うかもしれない。これから融資の支払期限を迎える中小零細企業は多い。金利が上がると、会社の血流たる資金を低金利で循環しながらなんとか活動していた中小零細企業が苦境に陥り、倒産する可能性は無視できない。

近年の日本は豪雨が多発している。「平成最悪の水害」といわれた平成30年の西日本豪雨は、自動車メーカーと自動車部品メーカーが集まる中部地方に甚大な影響を及ぼし、各工場が稼働を停止したり、物流が滞ったりした。そこで今回は、取引先の災害リスクまでも考慮したBCP(事業継続計画)を構築する具体的な方法を思案していきたい。最後には、サプライチェーン関係者や経営幹部が絶対読むべき、世界銀行が日本の気候変動リスクを分析したリポートも紹介する。

経済安全保障がかつてないほど重要視されている。米中対立にコロナ禍、ロシアによるウクライナ戦争、円安に値上げ…サプライチェーンを混乱に陥れる外的要因ばかりだ。では実際に、サプライチェーンの修正・変更はできるものなのか。そこには、どんな困難が付きまとうのか。とりわけウクライナ戦争という未曽有の事態から学ぶべきことはなにか。私たちが教訓とすべきことを考えてみたい。

日銀が発表した3月の国内企業物価指数は、前年同月に比べて9.5%上昇し、39年3カ月ぶりの高水準を記録した。かつてサプライチェーンは「いかに値上げを抑える交渉をするか」が話題の中心だった。それがこのところ、「値上げを認めるのが当たり前」「いかに物量を確保するか」が主眼となっている。どんな品目の物価がどれくらい上昇しているのか、データをグラフ化し、上昇率の高い順から並び替えたランキングにしてみると、一目瞭然で分析できた。

筆者はウクライナ情勢の緊迫化を受けてから、ずっと各企業のサプライチェーン担当者と情報交換を重ねている。日本たばこ産業や住友電気工業のウクライナ工場は稼働停止となった。トヨタ自動車のロシア工場も、部品入手が滞るなどの理由で稼働停止を決めた。現時点で影響が明らかになっている事象のうち、筆者が注目する二大事象を解説する。

ウクライナ危機で企業のサプライチェーンにどんな影響が出るのか。とりわけ半導体と、中国~欧州をつなぐ物流関係者に不安と緊張が高まっている。エネルギー価格の急騰や、サイバー攻撃によって調達網全体にダメージを受ける可能性もある。サプライチェーンの専門家が現状と対処法を徹底解説する。

2021年のサプライチェーンは、世界の景気高揚によって需要が急増し、半導体や部材などの入手が困難になった。自動車やゲーム機などが市場に供給できなくなり、サプライチェーンが注目された。本稿では21年のサプライチェーンを振り返りつつ、22年のサプライチェーンの課題を予測する。
