医薬経済ONLINE
Eコマースと金融を柱に、通信、スポーツ、医療、そして一時は航空運送業にまで手を伸ばし、商いの領域にとどまらず、社会のインフラ部分をもカバーする楽天グループ。創業者・三木谷浩史氏の才覚と強運によって、創業から四半世紀足らずで足元の連結売上高が1兆4500億円を超える企業集団へと上り詰めた。だが、好事魔多し。楽天グループとその統領は周知のように、各方面から目下、「フルボッコ」の批判を浴びている。医療では光免疫療法とOTC薬(大衆薬)だ。

業界未経験の弁護士出身者が、後発医薬品メーカー、小林化工の新社長に就任した。投資や知財関連で経験豊かとみられるが、規制に雁字搦めの製薬業界で、どう手腕を発揮するのだろうか。以前小林化工の親会社オリックスに在籍していたことがあり、オリックスの意向が働きやすくなったのは想像に難くない。オリックス幹部の頭の中に「事業譲渡」の四文字はあるのだろうか。

米マイクロソフトが4月12日、米ニュアンス・テクノロジーを約2兆1500億円(194億ドル)で買収すると発表したことである。ニュアンスはアップルの音声アシスト機能「Siri」の基礎技術を開発した企業として有名だ。だが、実は20年近くにわたって、医師の生産性と作業方法を変革するための音声対応AI型ソリューションを広めてきた実績がある。ニュアンス買収は「デジタルヘルスケアオペレーティングシステム」の設計のための一里塚である。今後も拡大していく遠隔診療やAIを使った業務効率化は、必然の対応だった。

小林化工、日医工と相次ぐ後発品企業の品質問題をめぐる不祥事で、「ジェネリック」の名称で信用を得てきた後発品が、再び「ゾロ」と蔑まれている。だからと言ってこの2社をとにかく叩けば解決するほど単純ではない。もちろん2社は猛省し、再発防止策を講じる必要がある。しかし、根本原因はこの2社を含めた後発品業界を取り巻く構造的な部分に起因する。20年にわたる後発品使用促進策。つまり、政府の後発品行政の「失敗」に目を向けずに再発防止は図れない。
