医薬経済ONLINE
4月19日、公正取引委員会がドラッグストア「ダイコク」に独占禁止法違反の疑いで立ち入り調査を行った。同社が納入業者に対して売れ残った在庫商品の返品を強要したことが独占禁止法に定める優越的地位の乱用に当たる、と判断したものである。ダイコクといえば、「元気、激安、特売セール」を謳い文句に掲げ、急成長したドラッグストアだ。今回の公取委の立ち入り調査で、さてはダイコクの急成長の裏には返品操作があったのかと疑う人もいれば、窮余の一策だったという説もある。

武田薬品工業の次期社長をめぐる動きがにわかに騒がしくなっている。「2025年まで」と現社長が自らの口で語った社長を辞すXデーまで残り2年半。漂流する巨艦と化しつつあるタケダの再起動のため、一肌脱ごうなどという殊勝な人物が同社の社内や周辺に本当にいるかどうかは不明だが、次期社長レースなどという読み物がメディアを賑わしつつある。

中外製薬の株価は、堅調な業績予想にもかかわらず低位に放置されている。2021年の年初までの業績と株価は、飛ぶ鳥を落とす勢いがあった。株価が下落に転じた要因のひとつとして考えられるのは、21年2月4日に発表した新成長戦略「TOP I 2030」が不評であったことだろう。成長戦略を語るだけの十分なKPI(重要業績評価指標)が示されておらず、30年度までに横たわるリスク要因に対して、投資家は警戒感を高めたはずだ。そのほかにもいくつかの要因が重なっており、株価は複雑骨折を負った状況と考えられる。

投資ファンドの目利きは間違っていたのだろうか。3月28日、中堅のジェネリック(後発)医薬品企業、共和薬品工業が、大阪府と工場を置く兵庫県、鳥取県から行政処分を受けた。医薬品の製造上の違反が見つかったためで、医薬品医療機器法に基づき最大33日間の業務停止となった。この共和薬品を2019年に買収したのが、投資ファンドのユニゾン・キャピタルである。

住友ファーマ(今年3月まで大日本住友製薬)は2005年に大日本製薬と住友製薬が合併し誕生した。合併により、とりあえず経営基盤を拡大し、財務面などの体力を得ることが狙いだったと考えられる。大型製品「ラツーダ」に頼ってきたが、特許が切れてジェネリック(後発)医薬品が収益を直撃する23年度は赤字転落となるのか。

「ここまで忖度すると、あきれるというよりも笑えてくる」と、業界関係者を失笑させる記事が日本を「代表」するクオリティペーパーの系列紙に載った。年度末を跨いで日経産業新聞が3回にわたって連載した『認知症薬 エーザイ再挑戦』である。記事体広告とは謳ってはいないが、エーザイ率いる内藤晴夫CEOの言い訳とも取れる言い分を、ほぼそのまま垂れ流すだけの内容だった。

10年前に武田薬品工業が行ったスイス・ナイコメッドの巨額買収は失敗だったのだろうか。11年、武田薬品は新興国市場に強みを持つナイコメッドを約1兆1000億円で買収。翌12年にモスクワから280キロ北東のヤロスラブリに工場を開設し、本格的にロシア市場への進出を開始した。だが現在、ロシアによるウクライナ侵攻で、両国での事業に暗雲が立ち込めている。

昨年末、業界最大手のサワイグループホールディングス(HD)が電撃的に発表した「小林化工が持つ工場のみ」の買収。この“奇策”に業界内では衝撃が走ると同時に、自ずと視線はある会社に向かった。「小林化工は決着した。では、日医工はどうするのか」(大手製薬関係者)。自らが引き起こした不正問題が解消するメドはいぜん立たず、再建への道筋も一向に見えてこない。工場売却で息をつなぐ可能性が業界内で囁かれ始めている。

3月下旬、東京地検特捜部がSMBC日興証券の元幹部5人を証券取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕、起訴。さらに三井住友銀行出身の副社長も逮捕した。対象となった銘柄の一つはアズワンだったとされる。一般の知名度はいまひとつだが、大学や製薬会社の研究者の間ではよく知られた医療系企業。図らずも事件で注目の的となってしまった。

数年毎に早期退職者募集をしているアステラス製薬。同社にはキーマンと目される人物がいる。「彼がアステラス製薬にいるということは、まだリストラが続くということでしょう」と、そのキーマンが過去に在籍した外資系製薬会社社員は漏らす。「コストカッター」として知られていたという。

協和キリンの時計の針をふた昔前に戻したときに感じるのは、中外製薬との間でついた大きな格差である。「抗体医薬開発における国内の双璧」と称されたのは昔。自社創製薬群が大きく伸長して売上高が1兆円の大台に届こうとしている中外に対し、協和キリンは3800億円という水準。時価総額の差も大きく開いている。

旧大日本製薬と旧住友製薬の合併で2005年10月に誕生した大日本住友製薬。来る4月1日を期して「住友ファーマ」に生まれ変わる。マルピーの通称で知られた大阪・道修町の名門の名は、生き残りを賭けたはずの再編劇から16年半で消滅する。社名変更は、住友化学による住友ファーマ完全子会社へのステップであることは間違いない。住化のより厚い「庇護」を受けること以外に、激動の製薬業界を生き延びる選択肢は残されていないからだ。

2月初め、警視庁が医療ベンチャー「テラ」株のインサイダー取引容疑で建設会社社長ら3人を逮捕、下旬にはテラと提携した医療コンサルタント会社「セネジェニックス・ジャパン」の竹森郁元取締役も逮捕した。テラは新型コロナウイルス感染症が急拡大した2020年4月、セネジェニックスと共同でコロナ治療薬を開発すると発表。続いてメキシコの子会社が行っていた臨床試験に成功し、メキシコ・イダルゴ州で薬事承認を受けた、と公表した。テラの株価は急騰したが、次々に発表した話が「ウソ」だったことが露見して急落。インサイダー取引はその最中に起こった。

田辺三菱製薬に対し、厚生労働省の「最終ジャッジ」が下ろうとしている。話の発端は、日本製薬工業協会のプロモーションコードに関する「重大な違反」が発覚したためだ。こともあろうに同社は、同協会“次期会長”を意味する統括副会長会社の立場だが、初歩的な自主基準すら守れないという失態を演じてしまった。

いまや“全面戦争”の様相だ。消費者庁と「ラッパのマーク」の正露丸でおなじみの大幸薬品である。1月20日、消費者庁が大幸薬品に対し、同社が販売する二酸化塩素を活用した「クレベリン」商品のうち、置き型以外の4商品について優良誤認させるとして景品表示法に基づく措置命令を行ったと発表した。発表が伝わるや、大幸薬品株はストップ安……。

ジョンマーク・ギルソン社長をトップに戴く三菱ケミカルホールディングス。昨年末発表の経営戦略で大幅な組織改編を示し、主力である石油化学からの実質的な撤退を掲げたほか、最高財務責任者を外部から迎え入れるなど矢継ぎ早の改革を打ち出している。「誰かに似ていないか」。そんな声が社内外を問わず漏れ聞こえてくる。誰あろう武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長のことだ。

東証は1月、各企業が割り振られる新市場の所属先を発表した。製薬業界では1部市場に上場している製薬会社37社中、35社がプライム市場に移行。医薬品卸も1部市場に上場している大手5社が揃ってプライム市場に移る。医薬品業界でスタンダード市場を選択した製薬会社はわずか2社に過ぎなかったが、うち1社は大衆薬最大手の大正製薬ホールディングスだった。

中外製薬にとって正念場かもしれない。同社が横浜市戸塚区に建設する研究施設「中外ライフサイエンスパーク横浜」をめぐる周辺住民との間の軋轢だ。周辺住民が「豪雨の際には遊水地の役割を果たしてくれていた土地に盛土をしたら、周辺の住宅は軒並み床上浸水してしまう。盛土でなく、ピロティ(柱)建築にしてほしい」と要望。願いは聞き入れられず、開発許可を出した横浜市に対し、「開発許可撤回」の行政訴訟を提起した。目下、裁判は佳境を迎えているが、その間に建設工事は進み、すでにビルが完成し、内装工事とビル間の盛土が始まっている。

新型コロナウイルスのパンデミックから2年が経過した。ワクチンや治療薬の開発では欧米大手やバイオベンチャーはもとより、中国にも遅れをとった。当初はアビガンなどの抗ウイルス薬の緊急承認や早急なワクチン開発に向けて、政治・行政と業界が一致団結して動くとみられたが、感染拡大が加速するなかで尻つぼみに終わったと言わざるを得ない。グローバルでの日本企業の存在感は一段と低下、地盤沈下していると言わざるを得ない。

「武田ブランド」が、いま、音を立てて崩れている。開闢240周年を自画自賛する企業ブランディングキャンペーンを、年も押し詰まった昨年12月より慌ただしく展開し出したことが、彼らの「焦り」の度を如実に物語ろう。しかも、「世界に尽くせ、タケダ。」というキャンペーンコピーの文言を何度読み返しても、誰が、誰に当てたメッセージなのかがはっきりせず、心に刺さらない。
