医薬経済ONLINE
ドラッグストアの成長が足踏み状態となっている。世間が急速に日常を取り戻すなか、ドラッグストアの成長率が鈍化、コロナ禍で既存店が売上げを伸ばした前年度が幻のようだ。「反動は仕方がない」「成長の終わりの始まりか」という両極端の見方が飛び交っている。
      
    
円満解決となったのだろうか。11月12日、がん免疫療法薬「オプジーボ」の特許使用料などを巡る訴訟で、小野薬品工業が京都大学の本庶佑特別教授に280億円を支払うことで和解した。ノーベル賞受賞者が原告となり、日本の産学連携のあり方も問われた異例の裁判だった。
      
    
眞鍋淳社長が中山讓治・現常勤顧問より経営のバトンを引き継いで以降、第一三共の業績は上昇気流をなかなか掴めず、2021年3月期は減収減益決算を強いられた。今期は好調で売上高1兆円超を予想。自慢の抗体薬物複合体(ADC)に社運を賭ける第一三共にあって、眞鍋社長の采配がようやく効き始めたようにも映る。だが、少なからぬ業界関係者は「否、そう簡単な話でもないだろう」と愁眉を寄せる。
      
    
医薬品業界に再び激震が走ったのは11月9日。公正取引委員会はアステム、メディパルホールディングス子会社のアトル、アルフレッサ、東邦HD子会社の九州東邦、スズケン子会社の翔薬、富田薬品の6社に対し、国立病院機構本部が実施した九州エリアの医薬品入札で談合した疑いがあるとして立入調査に入ったのである。
      
    
内資同士で手を結ぶものを大勢に、外資や異業種の傘下に入るものも現れた2000年代の国内製薬業界。日本新薬は、07年に第6代社長に就任した前川重信氏(現会長)が「背水の陣」で企業改革に臨んだ。中堅のなかでも下位クラスだったということもあり、メディアは「お手並み拝見」といった冷やかなスタンスだった。日本新薬の「本気」と「異変」に気付いたのは市場関係者のほうが早かった。
      
    
「抗生物質といえば塩野義製薬」という時代を知る人は年々少なくなっているのではないだろうか。現在の塩野義はHIVなどの感染症領域と、うつ病や疼痛などの中枢神経系領域を主力とする。そして現代のエピデミックである新型コロナウイルスへの塩野義の取り組みは社運を賭した切迫感が感じられる。
      
    
医療機器大手のニプロの21年3月期業績は売上高が前期比2.9%増の4555億円、営業利益が同4.6%増の276億円で、5期連続の増収と3期連続の増益を果たしている。配当も1円増配の29円と積極姿勢を見せており、これらの数字を見る限り優良企業として映る。しかし投資家の姿勢はつれない。有利子負債は年商を上回る5378億円へと膨らみ、自己資本比率は18.8%に落ち込んでいる。そうしたなか、同社は長期ビジョンを改めて掲げ、31年3月期に売上高1兆円達成をめざす
      
    
品質不正問題で体制改善が急務の大手ジェネリック(後発)医薬品メーカー「日医工」と医薬品卸大手の「メディパルホールディングス」が8月、安定的で効率的なジェネリック医薬品の供給体制の構築を目的とし、資本業務提携を締結したと発表した。増資の結果、メディパルは持株比率9.90%の筆頭株主となる。小林化工、長生堂製薬でも品質不正が発覚し「ジェネリック医薬品製造の管理はメーカーだけで行うのは難しいかもしれない」という認識が広まる。その意味で両社の提携はモデルケースになるかもしれない。
      
    
日本大学医学部附属病院の建て替え工事をめぐる資金流出事件。送金されていたというコンサルタント会社は日本有数の規模を誇る医療法人「錦秀会」の関連会社で、東京地検特捜部は背任容疑で日大理事と医療法人の前理事長を逮捕した。地検の真の狙いは日大理事長か、安倍晋三元首相への政治献金ではないかなど、注目が集まっている。
      
    
「ミスター・サロンパス」と呼ばれた久光製薬の中興の祖、中冨正義氏が亡くなってから、この11月でちょうど10年が経つ。孫の一榮氏が率いるいまの久光の経営を、草葉の陰からどんなに気を揉んで見つめていることだろう。
      
    
一度走り出してしまった列車は、大事故を起こすまで止まることはできないのか。新型コロナウイルス感染拡大の不安が日本中を襲った20年2月、一度は忘れ去られていた抗ウイルス薬「アビガン」が、突如として脚光を浴びた。安倍晋三首相(当時)が、会見で有望な候補薬としてアビガンを名指ししたのだ。胎児に影響を及ぼす「催奇形性」のリスクがあるために、これまで腫れもの扱いされてきた薬にもかかわらず、である。
      
    
薬剤師に特化した人材紹介会社「MEDIKLECT(メディクレクト)」が展開する、フリーランスの薬剤師を紹介するサービス「きょうりょく薬剤師」の登録者数がスタートして1年で500人を突破した。本格的なフリーランス薬剤師紹介業は日本初。すでに各地の薬局でフリーランスの薬剤師が活躍しているという。
      
    
がん免疫治療薬「オプジーボ」の特許使用料などをめぐり、本庶佑氏が小野薬品工業に約262億円を求めた裁判は最終盤。9月上旬に本庶氏と相良暁社長が出廷し、両氏に尋問が行われた。若手研究者のためを思うノーベル賞受賞者と強欲な製薬企業という対立構図が描かれ、相良氏は社長としての資質まで問われる展開となっている。
      
    
いまや“ワクチン長者”の米ファイザー。同社は6月、医療関係者向けに禁煙補助薬「チャンピックス錠」の出荷を一時的に停止する案内を開始した。米国本社が発がん性物質「ニトロソアミン」の評価を行ったところ、他国に出荷された同薬の特定ロットで、主成分であるバレニクリン由来のニトロソアミンが検出されたからだ。禁煙治療への影響は計り知れない。
      
    
製薬会社の「生命線」である新薬開発パイプライン。武田薬品工業の現在の研究開発トップが就任してから20年度までの6年間に使った研究開発費は累計2兆2900億円に達する。その研究開発投資に見合うだけの大型品は、まだパイプラインに見当たらない。会社側の強気の見方に対して、一向に市場の評価は高まらない。
      
    
国内製薬業界では薬価引き下げの圧力が毎年強まる状況下にもかかわらず、“通常適合力”で凌ごうとする会社が中堅以下の各社に目立つ。「先見的独創と研究」との社是を掲げる持田製薬は、その代表例と言えるかもしれない。
      
    
コンビニエンスストアは次々と取り扱いサービスを拡大してきたが、どうしても埋められない穴が医薬品だった。だがコンビニの大衆(OTC)薬参入を阻んできた規制が、8月から一部見直されることになった。OTC薬を手に入れて、コンビニはいったい何を目指すのか。
      
    
後発(ジェネリック)医薬品業界は嵐の真っ只中に放られている。嵐とはすなわち相次ぐ不祥事や薬価引き下げだ。各社はこの嵐に耐えられるのか。財務の観点から、上場する大手・中堅4社(日医工、沢井製薬、東和薬品、日本ケミファ)を分析した。
      
    
田辺三菱製薬が三菱ケミカルホールディングスの完全子会社となってから、1年半近くが経過した。同社の企業価値向上のためには、三菱ケミカルHDの全面的な庇護を受ける以外の選択肢が「本取引よりも有効であるとは考えられない」と結論付けての嫁入りであった。が、待ち受けるのは4月にホールディングストップに就任した外国人社長による洗礼だろう。
      
    
業界最大手の武田薬品の株価が低迷している。残念ながら買収金額6兆円超の日本企業最大の企業買収に踏み切ったクリフトフ・ウェバー社長の経営戦略は株式市場から敬遠される結果となったと言えよう。シャイアー買収発表前に6000円台にあった株価は、7月下旬時点で4000円に届かない水準で停滞している。株価を経営の通信簿と考えれば、武田薬品の株価は落第点である。
      
    