韓国の「敵対国家」指定に続き
北朝鮮の危険な動きが活発化
米国を意識する長距離ミサイルの発射実験などが繰り返されるのに加え、戦術核攻撃潜水艦の進水や憲法改正による韓国の「敵対国家」指定、それに伴う南北を結ぶ道路などの爆破、そして11月に入って、ロシア・ウクライナ戦争に最精鋭特殊部隊第11軍団(通称:爆風軍団:全体兵力規模4万~8万人〈韓国軍当局推定〉)のうちの4個旅団1万人以上を派遣、ロシア南西部のクルスク州ですでに戦闘を始めたことが報じられている。
北朝鮮の参戦という事態に、バイデン政権はウクライナに対し、供与したものの、これまで認めてこなかった長射程ミサイルなどのロシア領土への攻撃を承認し、ウクライナ軍は19日に米国の「ATACM(アタクムス)」、20日は英国の「ストーム・シャドー」を使用してロシア領土を攻撃。
これに対してロシアのプーチン大統領は、11月21日にウクライナ中部の産業都市ドニオウロに向けて発射したミサイルが、「新型の中距離弾道ミサイル」であることを発表、「核使用の示唆」を改めて使い、欧米の軍事支援強化をけん制した。
北朝鮮の動きはウクライナをめぐる事態をエスカレートさせる引き金となったが、影響はウクライナの戦況だけでなく、ロシア急接近による中国との関係悪化が、朝鮮半島情勢の不安定化などにもつながる危うさを帯びる。
最精鋭部隊派遣の金総書記の「真意」
実戦の経験積ませるのが本当の狙いか?
北朝鮮のロシア派兵への大きなトリガーの一つになったのが、2024年6月19日、24年ぶりに北朝鮮を訪問したプーチン大統領と金正恩総書記が、会談後、署名した「包括的戦略パートナーシップ条約」だ。
同条約の第4条では、集団的自衛権を認める国連憲章と自国の法律に従って「どちらか一方が、武力侵攻を受け、戦争状態になった場合、遅滞なく、保有するすべての手段で軍事的およびその他の援助を提供する」との軍事的な支援が明記されている。