「2つの王道」で7億円から40億円へ

 では、はたしてこのコピーの成果はいかほどだったか?
 3人目の「オチ」となるフレーズが大反響を呼び、禁煙パイポを販売したマルマン株式会社の年商は、7億円から40億円へと約6倍近くも伸びたのだ。

 成果につながるコピーは、2つの王道を踏んでいる。禁煙パイポも例外ではない。

[王道1]
 売れるコピーは、「どう言うかより、を言うか」がしっかりしている。「どう言うか」という「コピーライティング」の前に、「何を言うか」という「戦略」が重要だ。
 戦略とは「ターゲット×提供価値」。
 禁煙パイポの場合は、「男性喫煙者(ターゲット)×禁煙パイポ(提供価値)」が戦略である。

[王道2]
 何を言うかという「戦略」が決まった後は、どう言うかという「コピーライティング」の出番である。売れるコピーライティングには4つの法則がある。
 ジョン・ケープルズの名著『ザ・コピーライティング』をこよなく愛する読書家で有名なメンタリストDaiGo氏も、人を惹き付ける言葉として、4つの法則を重要視している。では、その4原則を紹介しよう。
● 法則1)得になる
 読み手は常に「ベネフィット(得)」を求めている
● 法則2)新情報
 読み手は常に「新しい情報」を欲している
● 法則3)好奇心
 読み手は常に「好奇心×得×新情報」を求めている
● 法則4)手っ取り早く簡単な方法
 読み手は常に労せず「益」を求めている
 出典:『最強のコピーライティングバイブル』p76より

 売れるコピーには、必ずといっていいほど、この4原則が当てはまる。
 では、年商を6倍近く伸ばしたあのコピーを検証してみよう。

 「私は、コレで会社をやめました」

 このコピーは、「●法則3:好奇心」と「●法則4:手っ取り早く簡単な方法」を巧みに反映している。
 どういうことかと言うと、
● 法則3)好奇心
 「コレ」が、男性喫煙者の好奇心を喚起している。
● 法則4)手っ取り早く簡単な方法
 「禁煙パイポ」だけで、カンタンにやめられることを比喩している。

 禁煙パイポによって、伝えたいメッセージは、「カンタンにやめられるますよ(カンタンに禁煙できますよ)」であったであろう。
「私は、コレで会社をやめました」というコピーは、長年勤めあげた会社を女性関係で、あっさりクビになったことを表現し、禁煙パイポを注目させることに成功しているのだ。

 コピーライティングは、コピーライターに限定された技術ではない。
 プレゼンのタイトルやメッセージ、異性に対するプロポーズの言葉、部下へのフィードバックコメントなど、あらゆるシーンで求められる必須の技術だ。