オラクルが企業に提供するクラウドアプリケーション群は、ERPなどの基幹業務をはじめとして、経営管理システム、サプライチェーンマネジメント、マーケティングやサービスなどあらゆる業務の分野を網羅している。その中でも特に力を入れている分野の1つが、HCM(ヒューマン・キャピタル・マネジメント)システムだ。同社のヒューマン・キャピタル・マネジメント戦略担当バイスプレジデントであるグレッチェン・アラコン氏に、オラクルHCMの特徴と日本市場への取り組みを聞いた。

人材に関する豊富な機能を統合

グレッチェン・アラコン (Gretchen Alarcon)
オラクル ヒューマン・キャピタル・マネジメント
戦略担当バイスプレジデント
ミシガン大学でMBAを取得し、スタンフォード大学でアメリカ研究の学士号を取得。ナショナル・セミコンダクター等で人事プロセスの開発を手掛けた後、ピープルソフト(のちにオラクルが買収)に入社。長年にわたり人事システムとプロセスの開発と戦略立案に関わる Photo by DIAMOND IT & Business

――オラクルの人事アプリケーションの強みは何でしょうか。

 人材管理に関する「完全なスイート」であることです。従業員の給与管理や人事評価といった従来からある人事システムに加えて、タレントマネジメント、最近では人材イネーブルメントと呼んでいる動議付けのや社員のオンライン教育などに対応した機能も付加しています。ここまで幅広く人材の支援を行える仕組みを1つのサービスとして提供できるのが、大きな特徴です。

 そして、オラクルはグローバルで多くの人材を抱える大企業として、この人事システムを活用するユーザーでもあります。自らこのシステムを使って、企業として世界で成長できるようにしなければいけません。そのための改良を続けることで、HRシステムとしての完成度を高めているのです。

 オラクルの人事システムの歴史は、15年ほど前に、「Eビジネス・スイート」というERPの製品にはじめて人事管理機能を加えたところから始まります。そして12年前に、オラクルは人事システムに強かったピープルソフトを買収しました。買収が完了したときに、Eビジネス・スイートの強み、ピープルソフトの強みを一から見直して、新たな人事システムに統合しました。その後、5年ほど前にはクラウド化も終えています。

 その結果、現在では世界で約1300社がオラクルのコアHRシステム(人事給与システム)を採用しています。