ニーチェの次は、ハイデガーが来る?
堀田 ニーチェって、切り取られ方によっては「中二病」的な扱いをされることがあって、ライトノベル的感覚ではそっちのほうが多いですよね?
原田 堀田さんの本のニーチェも、基本的に明るいキャラクターですよね。でもなぜ、ハイデガーを一番のテーマにしたんですか?
堀田 とっかかりを説明するとつまらなくなっちゃうかもしれないんですが(笑)、『よくわかる現代魔法』や、ハリウッド映画にもなった『All You Need Is Kill』などを書かれている桜坂洋さんと「売れそうなタイトルあるある」をツイッターでやり取りしていた時に、「ニーチェが来たら次はハイデガーですよ」ということで、桜坂さんが『僕とツンデレとハイデガー』というタイトルを考えてくださったんです。僕このタイトルを聞いて「やっぱり桜坂さんは天才だな」と思ったものでした。
原田 そうだったんですか!
堀田 今って、どんなテーマにも、ありとあらゆる言葉があって、どこかは正解で、どこかが間違っている。
たとえば、原発はダメという言葉はある観点ではきっと正しいだろうと思うのですが、原発は必要だという言葉も、視座によっては間違っていない。そうするともはやこの世界に確実なものはないもない、ということになってしまう。
原田さんのご著書では、ハイデガーの『存在と時間』の中でも白眉とされる「死」の分析に焦点を当てていらっしゃいますね。僕、それはとてもいいと思いました。すべてが曖昧な世界の中で、ただひとつ「みな死ぬ」ことだけは確実ですもんね。
飲茶 確かにハイデガーはいいですよね。ハイデガーで1冊作ったら行けるかもって、いまアイディアもらっちゃいました(笑)。
堀田さんの本にも書かれていますが、今の世の中には「これだけは信じられる常識」みたいなものがなくて、みんなそれぞれに信じられるものがない中で不安のまま生きているという状況なんですよね。だから実存主義哲学が必要であって、『超訳ニーチェの言葉』があれだけブレイクしたわけで。次は『超訳ハイデガー』とか(笑)
原田 ありえますね(笑)超訳が大変そうだけど。
飲茶 でもまあ、今日はまりるさんがメインだから、ニーチェで締めないと(笑)。
原田 いやいや。
堀田 無理に戻すわけじゃないけれど、僕、原田さんのこの本を高校時代に読んだら、めちゃめちゃハマったと思いますよ。原田さんにファンレターかいちゃったかもしれない(笑)。
飲茶 まりるさんの素直でまっすぐな人間性が出ているなってすごく思います。…以前はどちらかと言えば、まりるさんって不真面目な人なのかなと思っていたんですけれど(笑)、これを読む限り真面目な人なんだろうなと。
自分の人生をまっすぐ生きる為の方法を、ニーチェもキルケゴールも一生懸命生涯かけて考えたと思うんですけれど、彼らの魅力をしっかり紹介している点に真面目さ、まっすぐさを感じます。
原田 お二方ともありがとうございます。嬉しいです!ルソーみたいに、書いたものは真面目でも本人は不真面目…という感じにならないように気をつけます(笑)
飲茶 これを超えるものを、僕書かなきゃいけないのか。う~ん。難しいな(笑)。
(了)