
日米関税見直し交渉の“火種”
在外米軍の駐留経費負担増求める米国
米国の第2次トランプ政権は、これまでの対外経済・安全保障関係を大きく見直す方向にかじを切っている。
ウクライナ軍事支援からの“撤退”や北大西洋条約機構(NATO)の負担を欧州諸国が中心に担うことを求めるなど、トランプ政権の「米国第一」主義は安全保障面でも明確だ。
日本とは相互関税などをめぐって見直し交渉が始まり、日本側は相互関税や自動車への25%関税撤廃を主要課題と位置づけるが、米国側には、在外米軍の駐留経費や同盟国の防衛支出についても「負担増」を思惑があると見られる。
実際、トランプ大統領はこれまで何度も日本の安全保障負担が少ないと不満を表明している。
日本政府は、安全保障問題は関税交渉と切り離して議論する方針をかかげると同時に、岸田前政権時代に決めた防衛費を2027年までに国内総生産(GDP)の2%とする方針を着実に進める考えだ。
ただ、トランプ大統領は第1次政権でも同盟国などの国防支出や、各国に駐留する米軍の経費について受入国負担の増額を求めており、この流れは第2次政権でも基本的に変わらないとみられる。
すでに日本への駐留米軍兵員数は約5.6万人、駐留米軍経費負担も世界でトップだ。
一方で中国の膨張や北朝鮮のミサイル技術高度化など、日本の安全保障環境は厳しさを増していることは確かだ。
トランプ政権と折り合える道はあるのか。