
一貫教育を施すエスカレーター校の半数近くが、実は赤字に陥っている。エスカレーター校を運営する233学校法人のうち107学校法人は、企業でいう売上高経常利益率に相当する「経常収支差額比率」がマイナスなのだ(2023年度実績)。特集『エスカレーター校の経営偏差値』の#9では、稼げないエスカレーター校ランキングを作成するとともに、赤字に陥る学校法人に共通する最大の課題をデータで明らかにした。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
233学校法人のうち
107学校法人が“経常赤字”
一貫教育を施すエスカレーター校の半数近くが、実は利益を出せていない。大学が消滅する、学校法人ごと立ち行かなくなるといったことがこれからどんどん起こるはずだ。この学校淘汰時代、学校関係者はもちろん、受験生やその家族も受験校選びで経営について目を向ける必要がある。
そこでダイヤモンド編集部では、エスカレーター校を運営する全国233学校法人の「経営偏差値」を初算出した(本特集#1~#8参照)。経営偏差値は、「稼ぎの規模」「稼ぐ力」「財務健全性」の三つを測る財務数値(2023年度実績)を偏差値化し、この三つの偏差値を平均したものを総合の経営偏差値としている。
このうち「稼ぐ力」は、企業でいう売上高経常利益率に相当する「経常収支差額比率」で測った。経常収支差額比率は、企業でいう経常利益に当たる「経常収支差額」(経常収入-経常支出)の「経常収入」(教育活動収入+教育活動外収入)に対する割合だ。
233学校法人のうち、経常収支差額がマイナスになったのは107学校法人。つまり半数近くが“経常赤字”に陥っている。
赤字の学校法人について経常収支差額比率のワーストランキングを作成すると、ワースト上位には甲子園大学を擁する甲子園学院や川村学園女子大学を擁する川村学園などが入った。この2学校法人を含め、赤字の107学校法人のうち81学校法人には共通点がある。
次ページでは、稼げない順に並べたランキングでワースト107位までを掲載する。併せて、赤字を出す学校法人に共通する最大の課題をデータに基づいて明らかにする。