ベビーカーは一切ダメ?
ストッキングでのだっこは?

 でも、逆に、最近は、こんな取材を受けたことがあって、反対に振られすぎることに驚きました。

「ベビーカーは一切ダメということでいいでしょうか?」

 だって。

「タイヤは半径以上の段差は乗り越えられない」という言葉を作ったのは、ベビーカーに限らず、車椅子や保育園カート、自転車など、半径と路面状況をみて、その場で、自分で判断できるようにしてもらいたかったからです。

 ダメとかいいとかではなく、使えない場面がある。その場合の対策はどうする、車椅子や保育カートは前輪が小さいから前輪を持ちあげれば乗り越えられるかもしれません。仕組みを知っているから、知恵があるから応用ができると思っています。

 また、さらしのだっこやおんぶをお勧めしているのは、その技術があると、カーテンでもシーツでも、だっこひもやおんぶひもに見えてしまうほど、自分にスキルが生まれるからです。すばやい避難に、さらしのだっこは、時間がかかります。スリングが最も早く装着できますし、重心を上にして、揺らさないという基本がおさえられれば、服の中に赤ちゃんを入れて、おなかをベルトなどでしばって、逃げることもできます。応用ができるための普段からの着実なスキルを得ていただきたくて紹介しています。

 さて、だっことおんぶが使えるということが普及してくると、各人の思い入れのある技だからか、ちょっとそれは…も、出てきています。

 通常の育児で紹介される時には、安全かどうかのチェックも厳しいのですが、防災というと、とっさの時にその場で役立つ知恵と思われているからでしょうか、安全面で、やめたほうがよい技も気軽に紹介されがちに思います。だっこやおんぶは死亡例もあります。普段使えない技は、さらに危険が増しますので、とっさならなおさら使えませんよね。

 例えば、昔よく防災本で紹介されていた「ストッキングでだっこする」。ストッキングはのびるので重心が下がるうえに、揺れるため、重たく走りにくいです。体重が重くなればなるほど、伸びる紐は不向きです。さらに日常でも使わないので災害時には使えません。

「ふろしきでだっこ」。これは無理してやればできなくもないという技が、おすすめ技として紹介されてしまったことがありました。普段も災害時にも、あえてやる必要性も安全性もありません。

「前後に2人をだっことおんぶする」。これは次の理由から今はできないと考えています。