政治、経済、国際社会、働き方や暮らし、流行に文化、スポーツなど幅広い分野にわたって、2011年の動向を総予測する特集です。執筆者や発言者は、斯界の権威や話題の人ばかり。そのほんの、さわりをお伝えします。
「欧米経済は2番底の危機にある」とノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授(コロンビア大学)は警告します。今話題のニューヨーク大学のルービニ教授も、かなり悲観的です。
対して、日本の景気は、「足踏み状態を年初には脱却」(ニッセイ基礎研究所)と「政策効果が剥奪し内需振るわず、輸出減少して失速」(日本総合研究所)と見方は分かれます。
大前研一さんは、「就業人口は、団塊の世代が毎年80万人が退出する一方、新規は40万人で、正味40万人が減っている。このような国が成長するのは不可能」と言い切ります。しかし、「VITAMIN(ベトナム、インドネシア、トルコ、タイ、アルゼンチン、南アフリカ共和国、メキシコ、イラン、イラク、ナイジェリア、大前さんが注目する国の頭文字)は、平均年齢が25~30歳と若く、人口5000万人以上で、平均8%程度で成長していて、この有望市場では、日本のお家芸(家電やインフラ投資事業)が成り立ち、ここで稼げばよい」と説きます。
政治は、本誌で「永田町ライヴ!」連載中の後藤謙次さんは「大政局に発展する可能性が濃厚」、江田憲司さん(「みんなの党」幹事長)は「夏までに解散・総選挙の可能氏が大」と、再び大波乱の様相です。
そして統一地方選挙。宮崎県に始まって、20超の都道県知事の選挙が行われます。注目は、東京都知事選。東国原英夫氏(現、宮崎県知事)が都知事選に出馬し、4選を目指す石原知事と戦うと予測されます。
論戦も読み応えがあります。まずは、菅直人首相が「平成の開国」と謳って意欲を示すTPP(環太平洋経済連携)参加の是非。この自由貿易協定に参加すれば、農産物市場の開放が求められます。安い外国産品がどっと入って日本の農業は大打撃を受けます。そのための農業対策を打ち、TPPのルール作りに参画するためにも「迅速に参加すべし」と言う早稲田大学教授の寺田貴さんに対して、「拙速な参加は、関連産業に大混乱をもたらし、食料自給率の大幅な低下というリスクを国が抱えることになる」と東京大学教授の鈴木宣弘さんは反論します。