フランスの「ソムリエ」、ドイツの「ブラウマイスター」のような酒の国家資格ではないが、日本にも、さまざまな民間団体による資格認定制度が存在する。愛好家各位もこれらの「酒の資格」に挑戦することで、日々の味わいがいっそう深くなるかもしれない。(「週刊ダイヤモンド」2014年11月1日号特集「世界が認めたニッポンの酒」より)
さまざまな業界には、プロ向けの資格制度が存在するが、酒の業界にも数多くの資格が存在する。
フランスでは、酒類を提供する接客業務に携わる人のための「ソムリエ」は国家資格。また、ドイツのビール醸造家の資格「ブラウマイスター」の養成所には、資格取得を目指して、世界中から人が集まる。
日本では酒の国家資格は存在しない。だが、さまざまな民間団体による資格認定制度が存在する。
資格保有者が最も多いのは、ワイン関係。日本ソムリエ協会が主催する資格が最も有名だ。
ソムリエ資格に加え、酒類メーカーや酒の販売業務に従事する人のための「ワインアドバイザー」という資格がある。同様のものが日本バーテンダー協会主催の「バーテンダー」。
どれもが現役で業務に従事しており、一定の経験年数を積んだ人にしか受験資格がない。テイスティングや接客サービスの技術、カクテル作りの技術なども問われる。
一方、広く一般の人に受験資格が開かれている資格もある。代表格が、日本酒ではほぼ唯一の資格「唎酒師(ききざけし)」。25年の歴史を持ち、資格保有者は2万人を超えた。日本酒への関心が高まる中、外国人の取得者も約500人いる。全体の25%が飲食業にも流通業にも携わっていない愛好家による取得だという。認定制度を主催するのは、料飲専門家団体連合会(FBO)傘下の日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会。