民間の生命保険の信奉者は、「こんなときこそ民間の保険の出番」というかもしれない。しかし、民間の医療保険は契約条件を満たさなければ給付金を受け取ることはできない。CML患者のケースを見てもわかるとおり、最近は通院や投薬で治療をするケースも増えており、入院給付金を主体とした民間の医療保険は通院だけでは給付を受けられないのが一般的だ。たとえ入院をしても支払い日数には上限があるため、長期療養を恒久的にカバーする力は民間の医療保険にはない。

 誰もが安心して医療を受けるために必要なことは、公的医療保険のさらなる充実だ。そのためには、制度を支える財源を誰がどのように負担するのか、といった議論は避けて通れない。

 病気は遺伝や環境などさまざまな条件が重なって起こるものだ。決して「自己責任」の一言で片付けることはできない。不幸にして病を得た人の治療にかかる費用は、患者に押し付けるのではなく、税金や社会保険料で支える仕組みを強化していく必要があると筆者は考える。

 そうした社会を作っていくことは、今、病気で苦しんでいる人だけではなく、自分や家族が病気になったときの何よりの保障になるはずだ。そんな社会が実現すれば、多くの人が不安から解消され、この国は今よりもっと穏やかで暮らしやすくなるのではないだろうか。