AC45という45フィートのカタマランの設計は高度は技術と経験が必要という

 世界最古のスポーツトロフィである国際ヨットレース「アメリカズカップ」。同時にF1にもたとえられるハイテク技術の結晶であり、クルーには苛酷ともいえる判断力と体力を要することから、このレースのおもしろさが世界中に多くのファンを持っている。このアメリカズカップが初めてアジアに、それも日本にやってきた。

 予選シリーズの最終戦となる「ルイ・ヴィトン アメリカズカップワールドシリーズ福岡大会」が2016年11月18日から20日の週末に開催された。レース史上初のアジア開催であり、同時に日本が舞台に選ばれ、日本からも1チーム参加したことで大いに盛り上がりを見せた。

 ディフェンディングチャンピオンであるアメリカのオラクルチームUSAへの挑戦権をかけて5カ国のヨットクラブによる戦いだ。アメリカズカップはタイトルを守る1チームと挑戦する複数チームに分かれて規定コースを回るタイムを競う。アメリカ艇は強く、ずっとチャンピオンであり続けている。

チャレンジャーである5つのチームは下記のとおり。

・ランドローバーBAR(英国)
・ソフトバンク・チームジャパン(日本)
・アルテミス・レーシング(スウェーデン)
・エミレーツ・チームニュージーランド(ニュージーランド)
・グルパマ・チーム・フランス(フランス)

ジャガー・ランドローバーのエンジニアも貢献したハイテク技術のかたまりの艇がフォイリング(水中翼でのフライング)中

 「ベストなクルー、ベストなチーム、ベストな道具、この3つが揃わないと優勝を狙えない。どれがとりわけ重要ということはなく、すべてが重要なのです。F1と同じです」。そう語るのはランドローバーBARのマーティン・ウィットマーシュCEOだ。マクラーレンF1チームで20年以上に亘ってマネージングディレクターを務めてきたウィットマーシュ氏は福岡で初日が終わったあと記者会見を開き、勝利に向けての明るい見通しを語っていた。