安宅 富の創出の仕組みが一気に変わるということかもしれません。実は、この話はトランプ大統領誕生とも無関係ではないのです。

 米国では2000年から15年までのGDP(名目)は75%増加しています。ですが、中間所得は約20%しか増えていない。つまり、富が極端に集中しているということを示しています。

 どこに集まっているのかといえば、シリコンバレーを中心にしたIT業界、いわゆるニューエコノミーと呼ばれる人々に、です。

新しい社会システムが萌芽する年
そん・たいぞう/1972年、福岡県生まれ。東京大学経済学部に在学中、Yahoo!JAPAN立ち上げに参画。98年、オンセール(現ガンホー・オンライン・エンターテイメント)の設立に参画、2009年、ベンチャー育成のMOVIDA JAPANを設立。起業家を次々と輩出するシリコンバレーのようなエコシステム構築を提唱。ソフトバンクグループ社長の孫正義氏は実兄。   Photo by A.S.

 実際、世界の時価総額を見れば、アップル、グーグル(アルファベット)、マイクロソフトがトップ3で、アマゾン・ドットコムも5位に入るような状況です。

 キャッシュフローから時価総額が生まれるというよりも、テクノロジーで未来を変えようとしていることに期待感が生じています。投資家目線で言うと、未来にお金を突っ込んでいる。さらに、時価総額が高まるとそれが次の投資を生む新しい仕組みになっています。

 とはいえ、シリコンバレーに住んでいる人たちは、インド系や中国系といった移民が多い。

 確かに、アジア系が多く住んでいます。家に帰ると英語以外の言語を話している割合が5割を超えたという話題も耳にしました。

安宅 ええ、アメリカンドリームの象徴とされる、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーが額に汗して富を築いた時代は終わってしまった。米国人の中には「移民たちが魔法みたいなことをしてぼろもうけしている」と思う人すらいます。

 新旧の産業間の対立が起きているのです。トランプ現象を引き起こしたのも、産業革命の時代に失業を恐れた労働者が破壊活動を行った「ラッダイト運動」に近い。それが本来的な流れだと思います。

 確かに、ニューエコノミーの人々はそれまでのエコノミーとは全く別の形で生きていますよね。

AIとロボットにより社会システムが一変

 そもそも、インターネットの進化の歴史を振り返ると、幾つかの大きな節目がありました。まずは1995年。「Windows95」やネットプロバイダーの登場です。02年には、ブロードバンド化が進み、映像や画像などの情報をやりとりできるようになり、ソーシャルメディアが普及し始めました。07年にはiPhoneが登場。スマートフォンやタブレット端末などを持ち歩き、常にネットに接続するようになります。

 そして15年、IoTの時代に突入しました。スマホの中だけでなく、全てのモノがネットにつながることで、外のモノ自体が進化するようになったのです。

 今後5年、10年で街中の風景はずいぶんと変わると思います。それも、人工知能(AI)やロボットが劇的に進化するからです。17年というのは、新しい社会や経済のシステムが顕在化する年、萌芽(ほうが)の年になると思います。