エネルギー動乱Photo by Masataka Tsuchimoto

関西電力を扇の要とした巨額カルテル事件には、中部電力、九州電力、中国電力が関わったと公正取引委員会は認定した。その後、処分取り消し訴訟を起こした3社。取締役の2025年の定時株主総会での賛成率はどうだったか。長期連載『エネルギー動乱』の本稿ではランキング形式で全28人の賛成率を紹介する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

トップ2に中部電の社外取締役
1位は加藤氏、2位は橋本氏

 中部電力、九州電力、中国電力それぞれの臨時報告書を基に、ダイヤモンド編集部は取締役28人の再任・新任賛成率をランキングにした。

 1位は中部電の社外取締役、加藤治彦氏(元国税庁長官)で99.0%。2位も中部電の社外取締役、橋本孝之氏(日本アイ・ビー・エム名誉相談役)で98.7%だった。

 中部電、九電、中国電の3社は、関西電力とそれぞれカルテルを結んだとして、公正取引委員会が2023年春に処分を下した。課徴金は中国電707億円、中部電275億円、九電27億円。3社は公取委を相手取って、同年秋までに処分取り消し訴訟を起こし、現在係争中だ。なお中部電は東邦ガスとの間の独占禁止法違反(不当な取引制限)事件で、24年春にも公取委から処分を受けた。

 24年の定時株主総会においては、これらの影響か、会長、社長の賛成率が一部の電力会社で低かった(24年7月30日配信『北陸・中部・関西電力の取締役「再任・新任賛成率」公開!カルテル事件の関電、中部の両トップの賛成率は?【株主総会2024】』と24年8月6日配信『西日本の電力大手3社の取締役36人「再任・新任賛成率」一覧!経営トップが下位の意外な会社とは?【株主総会2024】』参照)。

 25年の3社の会長、社長の賛成率はどうだったか。実はうち1社は会長が最下位に、社長もワースト3位に沈んだ。いったいどの会社だったのか。