また、このプランにはもうひとつの側面がある。

 大きな節電効果があるということは、当然、その分コスト(=電気代)の削減効果も非常に高いということ。

 実際にエアコンを最新型に交換すると、わずか数年で電力コストが激減し、エアコン購入代もすぐに回収できる。今夏の節電対策だけでなく、長い目で見れば、エアコン買い替えは企業のコスト削減にも大きく貢献するのである。

 私がクライアント企業に対して行なっているコスト削減コンサルティングでも、「エアコンの買い替え」は、重要項目のひとつとして推奨しているほどだ。

お達しが出てからでは遅い
今すぐ買い替えの決断を

 また、今の時期に「エアコンに絞れ」というのには、ほかにも理由がある。

 今、エアコンを使用しない時期だからだ。今のうちに、いや、やるなら今しかない。

 エアコンの買い替えと同様に、ビルの空調工事なども、今やるべきだ。こちらも省エネに大きく寄与する。いずれにしても、企業の場合、今すぐにでも意思決定して具体的な検討に入る必要がある。

 忘れてはならないポイントがもうひとつある。

 取り付け工事の問題だ。

 大掛かりな作業になる企業のエアコン取り付け工事は、基本的に年2回、6月頃か9月頃に集中してしまう。夏に間に合うようにエアコンを替えようとすると、ベストなタイミングはゴールデンウィーク、遅くとも6月中には工事をしなければならない。

 それに遅れると、真夏にエアコンを止めて取り替え工事をするハメになる。工事が集中し、すぐに対応してもらえないことも想定される。

「いまは計画停電もないし、夏はまだ先」などと言っていては間に合わないのである。

 予想される電力不足の状況を考えれば、政府が企業に向けて、より強制力の強い節電対策を打ち出してくる可能性は決して低くない。実際に、政府は電気事業法27条に基づいた「電力使用制限令」発動もあり得るとしている。

「絶対に25%節電しなさい。できなきゃ罰します」というお達しが出てから、「エアコンを取り替えなきゃ」とあわてても、もう工事が追いつかない恐れがある。

 夏が来る前に、エアコンを使わなくていいときに、手を打っておく必要があるのだ。今必要ではないからこそ、今考え、今行動すべきなのだ。