「ニッパチの法則」で
徹底節電する

 ビジネス業界には80:20の法則、別名「ニッパチの法則」という言葉がある。上位20%の要素が全体の80%を占める=主要な一部の要素が全体の大部分を占めるという考え方だ。

 私も企業のコスト削減に関するコンサルティングをする際は「上位20%のコストを削減することで、コスト全体の8割を削減できる」という、ニッパチの法則を最重視している。

 この法則はそのまま節電にも当てはまる。

 数値的には80:20ではないが、「使用電力のかなりの部分を占めるエアコン」をターゲットに節電すれば、使用電力の大部分を抑制できるということだ。

 オフィスの照明をこまめに消す、待機電力を抑えるという節電も、決して間違いではない。やらないよりはやったほうがいいに決まっている。

 しかし薄暗がりの中での作業や、いちいち電気機器を立ち上げなければならない手間と時間を考えれば、節電効果よりも業務効率へのマイナス影響のほうが大きいだろう。また、繰り返し述べるが、ポイントは「ピーク時の電力をいかに抑えるか」だ。日々節電節電とうるさく言っていても、それがピーク時の行動につながらなければ、意味はない。

 不便・不自由で仕事の効率を落としてまで我慢して節電しても、思ったほどの節電効果が上がらない。働く人たちの士気が下がることも、企業にとってはリスクである。「労多くして実り少ない」という結果になりかねない。

 ならば、いちばん電気を食うものだけにターゲットを絞って対策を講じるべき。それこそがシンプルかつ効果的、しかも合理的な電力需要抑制効果を生み出すのである。