一方、BCGDV自体は、大企業ほどの規模はなく、比較的コンパクトな組織体系であるため、機動力やスピード感を始めとするベンチャー的な強み、そしてBCGならではの知見を生かしつつ、通常のベンチャー企業では、なかなか成し得ないようなスケールで、ビジネスを行うことができます。

 日本の大企業にありがちな欠点としては、投資にきわめて慎重で、なかなかそこに踏み込めないという点があげられます。個人レベルでも投資に挑戦する人は少数で、基本は預貯金が大半というのと同じように、大企業も基本は内部留保、相当の額の税金を支払いつつ、きっちり前年を上回る利益を計上するといった優等生ジレンマに陥っている会社が大半です。

 市場の支持を得る必要がある上場企業特有のジレンマなのかもしれません(時価総額数十億、数百億のレベルで公開して、「毎年利益を出す、少しでも増益する」ことに縛られるのを避け、必要な投資を行ってかつ利益を出し、成長できるステージまで持って行こうとする気概のあるベンチャー経営者の友人がいますが、非常に正しいと思います)。

 その大企業が内部留保するアセットを投資に振り向けるお手伝いをし、秘めた潜在力に火をつける(ignite)のがBCGDVの一番の使命なのです。この使命を象徴するのが会社のロゴで、この六角形の形には、2つの意味があります(図参照)。

世界唯一の「デジタル商社」を日本で始めた理由

 1つは会議をする際の理想形。この形が会議をする時に一番コミュニケーションが円滑にできる形、といわれているそうなのです。よって当社の会議室はすべて六角形、机も全部六角形です。センターと呼ばれるグローバルの巨大拠点の会議室も全部が六角形になっています。

 もう1つは、この六角形、ななめの線で切ってずらしたような形になっているのですが、このズレの角度が50度となっているのです。これはマッチに火をつけるのに最適な角度らしいんですね(本当かどうかは知りませんが)。そう、大企業の持つ潜在力に火をつける(“ignite”)という意味が込められているのです。

 機動力を武器にdisruptを起こすベンチャーに太刀打ちすべく、大企業がその強みを活かすには、小さい規模で始めて、検証を繰り返しつつ事業モデルをつくっていくリーンスタートアップの良いところは良いところで踏襲しつつも、大企業だからこそ所有できる巨大アセットを活かして、事業モデルをつくり上げ、一気に攻め込んでいく。潤沢な資金を含めた巨大なアセットがあるからこそ、そのポートフォリオアプローチに幅も奥行きもできますし、トータルとしての成功件数、またひいては確率を上げることができるのです。黒字経営を維持すべく、利益を内部留保し、硬直状態に陥りがちな大企業の資金を、未来の投資へと向かわせるのが、私たちBCGDVの使命の1つだと思っています。

 日本の将来を元気にするためには、もちろんリスクをとって新たにベンチャーを立ち上げたり、そこに飛び込む人たちを増やしたりすることも大事です。さらに、既存の仕組みをかき回し(disruptし)て、活気を注入していくのも、必要不可欠な取り組みです。でも、それと同時にやはり多くのステークホルダー人口を抱える大企業に元気になってもらうのも大事なことだと思います。BCGDVは、デジタルという側面で、その一助になりたいという根本思想を共有する人間の集まりなのだと思います。

 以上、今回はBCGDVの事業内容やそれを実現するための、BCGDVの第1の特徴についてお話しました。次回は、残り3つの特徴の紹介を通して、なぜこのような側面を持つ組織が必要なのかについてご説明できればと思っています。今後の連載では、BCGDVの活動や、スペシャリストたちによるデジタルビジネスの最新事例の紹介を通して、企業活動やビジネスに役立つ情報やヒントをお届けできればと思っていますので、どうぞお楽しみに!