成長と尊敬できる人がいなければ
転職を検討するのも一つの手

 仕事で疲れた若者に、考えてみてほしいことが二つある。

 一つは、「過去1年、できれば2年の自分にどんな進歩や成長があったか」だ。これを、「条件A」としよう。

 もう一つは、同じ会社や官庁の10年くらい先輩に、「自分が将来この人のようになりたい、と思える人がいるかどうか」だ。こちらを、「条件B」とする。

 条件Aと条件Bの両方に対して「NO」なら、現在在籍している会社なり官庁なりは、あなたにとって適切でない場所である公算が大きい。端的に言って、転職(職場を変えること)を検討した方がいい。

 このチェックは重要だ。できれば十分な睡眠を取った上で、自分の心の声を聴いてほしい。

 これら2点がダメなのなら、速やかに転職活動を始めよう。しかし、次の就職先を確保するまで、組織内の誰かに辞意を伝えることは「厳禁!」だ。「辞めるかもしれない」と言うと、他人は関心を示してくれるが、それだけのことだ。辞めたいと一言でも言うと、その後に信用を失う。転職活動は、水面下で、自分の責任で、用意周到に進めるべきものだ。

 転職のリサーチは、学校時代の先生・先輩・同僚、仕事や趣味を通じた知り合いなど、自分の持っている人脈資産を総動員して行うべきだ。特に、何らかのきっかけで知り合った同業他社の人との人間関係は大切にするといい。また、人材紹介会社の門を叩いてみるのもいいだろう。どのような転職チャンスがあって、どのような人材が求められているのかを知ると、自分のポジションと課題が分かる。実際に転職しなくても、この種の情報収集は有益だ。

 ともあれ、疲れすぎるくらいマジメに働いているあなたは、組織にとって貴重な戦力のはずだ。その点を理解しない組織は尽くしがいのない組織だ。「何ができるようになると、いつ昇進・昇給する」といったメドのない、若者のやりがいと体力を使い潰す「ブラック」な職場なのかもしれない。

 コンサルティング、金融、官庁(それに少し前は大手広告代理店も)などの学生に人気のある就職先の多くは、しばしば若い社員に体力の限界まで働かせることがあるが、こうした組織では、曲がりなりにも将来の昇進・昇給のメドが示されている。

 先に明るさの見えない、単なるキツさに付き合っていてはいけないのだ。