子どもの学力を伸ばしてくれるか、国公立大学に合格できる力をどれだけ習得させられるか──。中学受験や高校受験の子どもを抱える親にとって最も重要な視点から、中高一貫校や高校を取材し、分析しました。

 まず、主要な国公立大学100校への今年の合格実績を基に、全国1567校の「高校」(中高一貫校を含みます)の合格力ランキングを作成。昨年に続いて、今年で2度目です。

 昨年のランキングと比べると激変しています。ベスト10校は1~9位まで中高一貫校が占めています。1位は筑波大学附属駒場、2位に灘と、東西の両雄が実力を見せました。

 昨年、公立高校の力を示した愛知の旭丘が5位から23位に、兵庫の姫路西が9位から48位まで転落。一方、都道府県別の順位では、地方は公立校が、首都圏や関西圏では有力私立が健闘しています。

 従来の国公立大学100校、超難関大学(旧7帝大と東京工業大、一橋大の9大学)、難関大学(9大学に早稲田、慶応、上智大学を合計した12大学)の「大学合格力」に加えて、今回は「医学部合格力」(国公立大学と一部の有力私立大学)を算出しました。

 医学部合格力ベスト100校を見ると、1~24位は中高一貫校。“狭き門”を通るには、やはり6年間を通した計画的な学習が有利なようです。1位灘、2位ラ・サール、3位久留米大学附設、4位東大寺学園、5位東海と上位は名門が並んでいます。

 躍進が目立つのは、巣鴨。今年、東大理Ⅲに5人の合格者を出すと同時に、他大学での合格実績も見事で、「名門復活」を印象付けています。その他、雙葉やフェリス女学院なども浮上しています。

 さらに、「中高一貫校」(主に首都圏と関西圏)については、入学時の偏差値と合格力を比較し、6年間に子どもの学力を伸ばしてくれる学校をあぶり出しました。
関東では世田谷学園、聖園、順天、成田高校附属、関西では奈良学園、雲雀丘学園などです。

 また今年は、理系力、就職力、生きる力など、大学合格力以外の点で、注目される学校の動向を取材しています。

 そして今、最も注目される公立の中高一貫校の取材も充実。白鴎、両国、小石川、大泉、南多摩の都立はもちろん、広島と岡山操山という地方の公立一貫校の校長も直撃取材。

 さらには、都立中高一貫校の適性検査(私立でいえば学力試験)問題を、専門家が分析し、その傾向と特徴を解説しています。都立中高一貫校の受験を考えている方には、とても参考になるはずです。

 夏を前にしたこの時期、夏期講習を考えている家庭も多いかと思いますが、その際、参考にして欲しい指標、「塾の合格力偏差値」も提示しています。

「開成50人、桜蔭30人……」と合格者人数を示すのが塾の宣伝の常套手段ですが、それは塾の規模の大きさに影響されます。合格実績校の偏差値と通塾生数を考慮した「塾の合格力偏差値」で、これまでとは違った見方で塾選びを考えてみてください。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 大坪 亮)