全生産台数の8%を割り当て
新エネ車規制が投げかける波紋

 自動車保有台数が急増している中国で、政府が打ち出した新エネルギー車(ニューエナジービークル=NEV)規制が自動車業界に波紋を投げかけている。これはすべての自動車メーカーに対し、EV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド車)を一定割合で生産するよう義務づける規制で、中国政府は2018年からの導入を計画している。有力な実施案は、全生産台数の8%をNEV割り当て台数とし、EVならその4分の1に当たる2%、PHEVは4%を適用するという内容だ。

 NEV規制の検討段階ではHEV(ハイブリッド車)もその候補に入っていたが、最終的には除外され、FCEV(燃料電池車)とEV、PHEVをNEVに認定した。この決定の背景について専門家は「HEVは日本、欧州、米国の自動車メーカーや大手サプライヤー(部品メーカー)がすでに大量の特許を所有しているため、それを避けながら優れた性能を発揮するクルマ作りは難しい」と指摘している。

 中国政府は、いたずらな競争が「無駄な二重投資になる」とし、NEV分野への新規参入をライセンス制にすることを決めた。中国発展改革委員会によると、すでにライセンス認定した自動車メーカーは国営の北京汽車、江鈴(こうれい)汽車、福建汽車などで、認定に当たっては研究開発能力、生産能力、アフターサービス体制などを精査するという。一方、すでにNEVを生産している自動車メーカーはBYD(バイド)オート(比亜迪汽車)、上海汽車集団などがあり、ライセンス申請中のメーカーにはVWの新規合弁事業などがある。申請状況の詳細は明らかにされていないが、すでに年産50万台程度のNEVを中国国内で量産可能だという。