このタイプは、まだ可能性があります。リーダーが、その人のあきらめている理由をよく聴き出して、理解してあげることが第一歩となります。時間はかかるでしょうが、本来、やる気はある人なので、持っていた意欲を引き出すようにしたいものです。

 メンバーの長所と解決策を考えない「ミナイさん」もチームにとってはマイナスに作用することがあります。メンバーのいい部分を認めようとしない、問題を主張はしても、解決策は考えない。これでは、チームに貢献できません。まだ自分の役割に気づいていないか、役割を勘違いしているのではないでしょうか。チームで行動することを理解してもらう必要があります。そのために、ほかのメンバーによって結束を高め、チームとしてのやり方を示し、結果を見せていくことが、そうした人たちへの強力な働きかけとなっていきます。

突然、「これからはチームワークだ」と宣言しても

 これまでの結果に満足できないなら、結束力を高めることです。それによって、結果を変えることができるからです。より満足のいく結果を得られるのです。

 なぜなら結束力の弱いチームや職場、組織には、アウトプットとしての結果を変えていく力が足りないのです。「なんとかしよう」と思っても、期待した結果を下回っていませんか? それは、結束力が弱いからなのです。

 残念ながら、過去に成果主義や、個人スキルを高めることだけに力を注いできたため、人と人の結びつきから生まれる相乗効果が弱くなり、メンバーの助け合う力が発揮できない状況になっている職場が、日本にはたくさんあるのです。

 たとえば、組織の問題解決。多くの問題が見えていても、解決に向けて行動するのは常に個人単位という状況では、解決できない問題が増えるばかりでしょう。できる人にばかり仕事が押しつけられて、問題解決をする時間が削がれていきます。

「できない人間はいらない」と思い込んでいるリーダーの下では、メンバーは各自で必死に働いています。しかし、解決できるものはわずか。それによって疲弊し、チームの力はいつになっても発揮されません。たまたま成果が出た人だけが評価され、できなかった者は去っていく……。それでは、結束力など生まれるはずもないのです。

 そんな状態で、突然、リーダーが「これからはチームワークだ」と宣言しても、急に結束力は生まれないのです。

 だからこそ、私たちはいま、あらためて「結束力」を考え、強化していく必要があるのです。もちろん、「仲よしクラブ」をつくろうというのではありません。仲がよいことは、いいことですが、職場にはもっと大きな目標があります。そこに向かっていくための原動力としての結束力を生み出し、「戦えるチーム」にしていくこと。

 それが、「バインディング・アプローチ」であり、次回からご紹介していく4本の柱【共通の目標】【やらないこと】【信頼関係】【助け合えるフォーメーション】なのです。

 

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