そのデビュー時にプロデューサーとなったのが小室哲哉氏でした。小室氏はtrfに続いてglobe、華原朋美、安室奈美恵などを次々とプロデュースしてヒット作を連発します。

 留意しなければならないのは、エイベックスはもともとレコード輸入卸業からレコード会社へ転身したため、マネジメント機能は持っていなかったことです。trfが世の中に出た後、100%子会社の芸能事務所「ホワイトアトラス」を設立。マネジメントを担当することになりました。また、外部のプロダクションに所属しているアーティストがエイベックスのレーベルでCDを出すというケースもありました。

 ヒットメーカーとしての地位を確立したエイベックスは、自らの中にマネジメント機能を持つことを選択します。

「レーベルとしてのプラットフォームを提供することでエイベックスが儲かり、外のプロダクションの利益にもなるという図式だったものが、中にプロダクションを持つことによって、360度、全部取れる。それによって収益率が非常に高くなる。これが2000年初頭までのビジネスモデルだったんです。当時、他社はどこも(レーベルとマネジメントが)セパレートされているのが主流。両方あるというビジネスモデルは、エイベックスが日本においては先駆けだったのではないでしょうか」(黒岩氏)

他社のレーベルや
プロダクションをも顧客に

 しかし、この頃から、音楽を取り巻く時代環境が大きく変化します。IT化の進展により、ネットを通じて無料で音楽を楽しむことができるようになり、CDが売れない時代へと移行し始めていったのです。

 黒岩氏によると、こうした音楽視聴環境の変化は逆説的にライヴ(生)への欲求を高めたといいます。

「デジタル上で、タダで聴けたり、見られてしまうからこそ、生で聴きたい・見たいという心理がはたらくようになりました。いままで経済圏の中心だった『CDを買う』というところを飛び越えて、ライヴへと需要が移ったんです」