年収300万円未満の世帯でも
年間16.8万円の保険料を支払っている

 生命保険は、「人生の中で住宅を買うのに次ぐ大きな金額の買い物」などと言われます。生命保険文化センターが調べた「生活保障に関する調査(平成25年度)」によると、年収によって年間の払込保険料額の平均が変わってくるそうです。ちなみに年収帯別の年間生命保険料払込額は、次の図のようになっています。

 年収500万円以上700万円未満で年間20.4万円の保険料ということは、月額に直すと1.7万円です。正直、生命保険に毎月これだけの金額を掛け続けるくらいなら、投資信託の積立をやった方が、はるかに合理的だと思います。その方が、何よりもコストがはるかに割安です。

 もし、どうしても生命保険に加入したい場合は、保障のみを買うのが良いでしょう。要するに掛け捨て型の生命保険に加入するのです。

 掛け捨てならば、保険料自体が非常に格安なので、言うなれば安心料としてそれほど負担になりません。

貯蓄型の保険の利回りは
0.5%以下だった!

 30歳の男性が保険期間を30年として、掛け捨て型と貯蓄型の生命保険に加入し、30年間払い込んだ場合の保険料を比較すると、その差は明らかです。

 死亡・高度障害時に保険金500万円が支払われるというプランを前提にして計算すると、掛け捨て型の払込保険料額は30年間で76万2000円、月にならすと2116円程度です。これに対して貯蓄型の場合は376万3800円でした。

 もちろん貯蓄型の場合は「解約返戻金」といって、保険期間が満了した時点で解約を申し出れば、相応の金額を受け取ることができます。仮に、このプランだと解約返戻金の額は400万1000円になります。
 増えた!と思った人は、ちょっと冷静になってください。

 月額1万455円の保険料を30年にわたって払い込み、その合計額が376万3800円になったところで解約。400万1000円を受け取るわけですから、純粋に運用で得た利益は、400万1000円-376万3800円=23万7200円増えたことになります。
 しかし、この場合の運用利回りが何パーセントだったのかを逆算すると、30年でこの数字なので、何と年0.405%。貯蓄型などと称しても、純粋な運用利回りはしょせんこの程度でしかないのです。

 では、これを仮に投資信託の積立で運用し続けたらどうなるでしょうか。毎月1万455円ずつ30年間積み立て、おとなしめの年平均3%で運用し続けた場合、最終的にいくらになるのかを計算すると、610万5000円になります。210万円の差は、非常に大きいでしょう。
 あくまでも確率の問題ではありますが、20歳から65歳までは、死亡する確率が非常に低いので、保障は全くといって良いほど必要ないと思います。それよりもそのお金を運用して、長生きに備える方が合理的ではないでしょうか?

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役社長
学卒業後、現クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立、07年4月より現職。現在、口座開設数12万人超、預かり資産1800億円を突破。著書に『最新版! 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』(共にダイヤモンド社)、『退職金バカ 50歳から資産を殖やす人、沈む人』(講談社+α新書)他多数。