そういうものを早めに発掘し大きく育てられれば、10年後の成功は間違いないだろう。

『10年後の働き方』 ――「こんな仕事、聞いたことない!」からイノベーションの予兆をつかむ
未来予報株式会社
曽我浩太郎/宮川麻衣子著
インプレス 2017/07 240p 1500円(税別)

 本書『10年後の働き方』を著した曽我浩太郎氏と宮川麻衣子氏は、米国テキサス州オースティンで毎年3月に開催されるクリエイティブ・ビジネス・カンファレンス「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に2012年から参加している。SXSWは、TwitterやFoursquareを世に広めるきっかけを作ったことでも知られる。SXSWに感銘を受けた曽我氏と宮川氏は「未来予報研究会」を立ち上げ、同カンファレンスで発表されたアイデアを日本国内で広めたり、SXSWで発表しようとしている日本人の活動の国内外への発信などを続けてきた。

 2016年に2人は「まだ世の中にないモノやサービスを一緒に育てる」をコンセプトに、製品のリサーチ、コンセプト設計、ブランディングを専門に行う「未来予報株式会社」を起業。SXSWの日本で唯一の公認コンサルタントとして活動を続けている。

 本書では、「農業と食」「交通とエネルギー」など8つの分野・業界ごとに章を分け、数々の生まれたばかりの新技術やビジネスを紹介している。その多くはSXSWで発表されたものだ。そして、それらの新技術・ビジネスが発展・普及する先に登場するであろう「10年後の仕事」を具体的に示し解説している。

機械やロボットとの“協調”がカギになる未来

 「建築と行政」の章には、SXSW2015でも展示された、ドローン型建築用3Dプリンターのコンセプトモデル「マペット」が紹介されている。

 マペットはGPSと3Dプリンターのプリントヘッドを搭載したドローンだ。GPSで自身の正確な位置を測定しながら飛行し、適切な場所にセメントを射出してさまざまな形状や大きさの建築資材を出力する「空飛ぶ3Dプリンター」だ。

 マペットは、災害時の堤防の修理や避難シェルターの建築など、建築資材を運び込みにくい場所での作業を想定したものだ。

 著者らは、将来このようなドローン型建築用3Dプリンターで普通の「家」を建てられるようになると予測する。そうなった時に生まれるはずなのが「3Dプリント建築家」という職種。まずは3Dプリンターで家を設計し、それを元に何機ものドローンを操りながら家を“出力”する設計士兼現場監督のような仕事だ。

 3Dプリント建築家は、従来のような人間の手による建築では難しい独創的な新しいタイプの建築を行うだろう。しかも、どんな場所にも建築が可能だ。そのためには、現在の建築家よりも幅の広い知識や技量、そして空間感覚や美的センスが要求されることだろう。

 また同じ章では、人間と共同作業をする「コラボレーティブ(協働)ロボット」も取り上げられている。